研究課題
骨粗鬆症を有しているが既存の脊椎圧迫骨折のない64歳女性・BMD 0.717g/cm2の全脊椎CT画像データを基に、有限要素解析ソフト(MECHANICAL FINDER)を用いて第1胸椎から骨盤までの多椎体三次元有限要素モデルを構築した。さらに、実臨床で使用する金属製インプラント(椎弓根スクリュー・S2 Alar Iliacスクリュー・ロッド)をマイクロCTで撮影し、これらのCT画像データを基にCADソフト(Solid Works)を用いてインプラントのSTL(Standard Triangulated Language)モデルを構築し、有限要素解析を行った。インプラントの固定範囲の違い(固定範囲:第2胸椎-仙骨と第10胸椎-仙骨の2通り)、脊椎アライメントの違い(SVA:Sagittal vertical axis 0mm、50mm、100mmの3通り)、固定上端のインプラント種類の違い(椎弓根スクリューと横突起フックの2通り)を組み合わせることで合計12モデルを構築し、有限要素解析を行い良好な解析結果を得ることができた。最終年度はさらにインプラント密度の違い(全椎体と一椎体置きの2種類)を条件に加えて全24モデルを構築し有限要素解析を行ったが、有意な解析結果は得られなかった。このため、全12モデルで得られた結果を最終結果とした。これらの結果から、骨粗鬆症を伴う成人脊柱変形に対する多椎体脊椎インストゥルメンテーション手術における三次元有限要素解析では、脊椎バランスが前傾し、固定範囲が短く、固定上端のインプラントに椎弓根スクリューを使用した場合、椎体やインプラントに生じる応力が大きくなることがわかった。
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