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2020 年度 実施状況報告書

Augmented Reality(AR)を用いた次世代型関節鏡システムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K09547
研究機関名古屋大学

研究代表者

山本 美知郎  名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (90528829)

研究分担者 横田 秀夫  国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (00261206)
建部 将広  名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (60420379)
栗本 秀  名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (70597856)
平田 仁  名古屋大学, 予防早期医療創成センター(医), 教授 (80173243)
大山 慎太郎  名古屋大学, 医学部附属病院, 特任助教 (80768797)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードAugmented reality / 肘関節症 / 末梢神経
研究実績の概要

整形外科手術においてARを用いた治療は人工関節や脊椎手術など一部では国内でも既に実施されている。本研究においてはARの精度を記録するために、肘関節鏡モニターと別途のモニターを設置しAR表示を行う。術者はARモニターを必要な時に参照し、必要のないときはAR無しの従来のモニターを用いて関節鏡治療を行う。術中のARは術中エコーなどと同様の補助的なシステムであり、ARによる重畳表示自体には侵襲性は無い。上記の理由により本研究は観察研究として2020年3月に名古屋大学の倫理委員会で承認を得た。
これまでの予備実験では肘関節を90度屈曲位で固定した状態でAR関節鏡を行っている。実際の臨床例では肘関節を屈曲位から伸展位まで動かしながら鏡視することがある。肘関節の屈伸に伴う神経の位置情報の変化を複数肢位で撮影したMRIから推定する研究を理化学研究所の横田リーダーらと開始している。
いままでに行ってきた実体モデルを用いた予備実験とニホンザルの肘関節を用いたAR肘関節鏡の実証実験の成果がScientific Reportsに2021年1月掲載された。これを受けて名古屋大学はプレスリリースを行った。日本経済新聞社から取材を受け、成果の一部は3月19日版の日経産業新聞に掲載された。
現在のAR肘関節鏡の性能は位置追跡装置マイクロントラッカーによって規定されている。マーカーの認識や情報の入力速度など、改善の余地がある。プレスリリースしたことにより企業からの問い合わせが来ている。ウエブ会議などが予定されているが、AR肘関節鏡システムが、汎用性高く、簡単に使用できる様にするためにはアカデミアに加えて企業との共同研究が必要と考えている。製品化を含めた具体的な出口戦略を念頭において研究を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

倫理委員会の承認を得たことで臨床研究が可能になった。安全に配慮した臨床研究を行うために、肘関節の屈伸に伴う神経の移動に関する研究を行っている。具体的には健常ボランティアの肘関節MRIを伸展位と屈曲位で撮影した。伸展位における肘関節周囲の神経の情報を理化学研究所が開発したVCADのVoTracerを用いて屈曲位とした際の変化をシミュレーションする。神経の動きは関節の動きに同期させて、上腕骨内上顆前方へのスライド情報を組み合わせたアルゴリズムを作成する。正確にシミュレーションできているかを屈曲位で撮影した肘関節MRI画像で検証する。
本研究は観察研究であり、ARは必要なときのみ参照し、不要な場面では通常の手術のみ行うことも可能である。実際の臨床例で関節鏡と鉗子にマーカーを取り付けて、頭上のライトに位置追跡装置のマイクロントラッカーを設置して、リアルタイムに位置情報を捉えることが出来るかの実証実験を行った。位置追跡装置の視野角度の問題があり、一部でマーカーの認識が出来なくなる状況を認めた。滅菌したマーカーを既成の関節鏡や鉗子に取り付けるための工具も作成している。

今後の研究の推進方策

変形性肘関節症や肘関節炎、または上腕骨外側上顆炎などで肘関節鏡手術を行う場面も多い。安全に肘関節鏡AR手術を行うための準備が整いつつある。現在は理化学研究所の画像解析チームといわば手作りでAR肘関節鏡を行っているが、今後は本システムの製品化も視野に入れて企業との共同研究も検討している。位置情報の入力速度やマーカーの認識範囲などは位置追跡装置の性能に依存しているが、より高精度でユーザーの負担が少ないシステムを作る必要がある。
予備実験の成果がScientific Reportsに掲載され、名古屋大学からプレスリリースしたことで、企業からの問い合わせが来ている。企業とのウエブ会議もいくつか予定されている。名古屋大学の一部の限られた状況でしか使用できないシステムでは無く、汎用性が高く使いやすいシステムの開発が求められる。そのためには企業との共同研究が重要である。より具体的な出口戦略を念頭に入れながら臨床例での成果を出す予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍のため出張のキャンセルがあり主に出張費の次年度使用額が生じた。
理化学研究所の横田秀夫リーダーが名古屋大学に出張するための旅費や研究成果を国内外で発表するための出張費用が必要である。マーカーを関節鏡に取り付けるための工具などの消耗品費用もかかる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] Experimental pilot study for augmented reality-enhanced elbow arthroscopy2021

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto Michiro、Oyama Shintaro、Otsuka Syuto、Murakami Yukimi、Yokota Hideo、Hirata Hitoshi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 11 ページ: -

    • DOI

      10.1038/s41598-021-84062-7

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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