悪性骨腫瘍切除後欠損後、関節近傍は腫瘍用人工関節により再建されるが、骨幹部腫瘍の場合は切除骨を殺細胞処理後再利用し再建される。長期での処理骨単独では吸収は避けられず、血管吻合技術による自家腓骨移植が使用されることが多く、採取部の機能障害を残す事があり、処理骨のみでの再建が望まれる。
ラット大腿骨骨幹中央部に10mm長骨を切除摘出し、切除骨をパスツール法(切除骨を生理食塩水と共に1.8mlチューブにいれ60度30分間ヒートブロックにて加温)にて処理し、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(Poly Ether Ether Ketone: PEEK)とスクリューにて再固定するラット大腿骨処理骨モデルを確立させた。このプレート固定技術は、骨感染モデルにも使用可能となり、共同研究として技術を提供し、同論文は投稿中である。
確立させたパスツールモデルを用いて、FGF2 10マイクログラム含有させたペルナック(人工真皮)を用いて髄腔内留置した群(FGF2群)、処理骨周囲に筋組織を除去した群を腫瘍広範切除モデル(筋切除群)とした。FGF2群と筋切除群を組み合わせ、コントロールと対応させた。処理骨を採取し、マイクロCTにて評価した。骨形成と骨吸収の程度を処理骨とホスト骨の接合部と処理骨中央部にて評価した。処理骨-ホスト骨の骨形成は、筋切除群は非筋切除群と比較して、非筋切除群の方が良好であった。FG2F群の方が、非FGF2群より、骨形成が大きい傾向にあったが優位ではなかった。処理骨は非処理骨よりCT値が高く、処理骨は骨リモンデリングが起きず、CT値が上昇した可能性が考察された。筋切除群において、FGF2群と非FGF2群と比較すると、FGF2群処理骨中央部にてCT値が低く、FGFにて、骨リモデリングが改善された。組織にても、形態学的に画像所見を示唆する所見を確認した。
|