研究分担者 |
小牧 裕司 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 室長代理 (10548499)
中村 雅也 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (30217898)
関 布美子 公益財団法人実験動物中央研究所, ライブイメージングセンター, 研究員 (40771407)
宮本 健史 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任教授 (70383768)
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研究実績の概要 |
思春期特発性側弯症(AIS)は全人口の3%に及ぶ. この疾患は脊椎の側方への弯曲と脊柱の回旋によって特徴づけられる. 進行すれば整容的な問題に加えて, 呼吸障害や心全を起こす重篤な疾患であり, 本邦では年間に数千件, 米国では約2万件の手術が行われているが,その発症機序は不明である. AISは4足歩行の動物では発症せず, 2足歩行のヒトにのみ生じることや, キアリ奇形では側弯を高率に発症することから, 平衡感覚や姿勢反射などの中枢神経系の異常の関与は明確である. また近年の研究から, 三半規管(蝸牛)の異常や体性感覚の異常が明らかとなっている. 中でもキアリ奇形に見られる脳脊髄液の動態の異常はAISの発症に寄与する可能性が示唆されているが, 脳脊髄液の動態の機能解析や画像的描出は困難である. そこで本研究では側弯症発生における脳脊髄液の動態の寄与を明らかにする.具体的にはTime-SLIP法を用いてAIS患者の脳脊髄液の動態を可視化及び定量を行う. 申請者の所属する教室は国内有数のAISの治療実績があり, 申請者のらは年間におよそ500人の側弯症患者を診察し, 100人以上の患者の手術を行う. このため, 多数の患者の研究参加登録が可能である. またマウスにおいて, Time-SLIP法を確立させることで, マウスの脳脊髄液の動態の解析を可能にして, 後述する中枢神経系に特異的に運動性繊毛を調整する遺伝子の欠損マウスの脳脊髄液動態を観察することで, 側弯症発症に対する寄与を明らかにする.
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