研究課題
本研究の目的はTgf beta-activated kinase(TAK1)とHippo pathwayとの連関を中心にMSCの増殖制御機構に迫るとともに、TAK1阻害がもたらす静止期同期を応用した新しい移植用細胞調整法の可能性を検討することにある。これまでTAK1が細胞増殖に重要な因子であることは報告した。しかし、これまでの研究成果から分化制御に関与している可能性も示唆され、本年度はプロテオミクス解析からTAK1と相互作用するタンパク質を同定し分化制御因子の解明を試みた。間葉系幹細胞(BMMSC)におけるTAK1のcoIP及び高深度DIAプロテオーム解析から5581個のタンパク質を同定した。次に、細胞外、ミトコンドリアなどの細胞小器官由来およびその他のタンパク質などを除外し、355個に絞られた。また、このリストの中から上位かつ機能が良く知られていない物に着目しLyarというタンパク質に着目した。piggyBacトランスポゾンシステムを用いて初代BMMSCにLyarの遺伝子導入を行い、恒常的発現細胞株を作製し、分化誘導を行った。Lyar恒常的発現細胞株においては誘導日数が2週間経過しても脂肪滴の形成は観察されなかった。また、分化誘導した細胞を用いてマイクロアレイ解析及びqPCRを実施すると、脂肪分化・成熟関連遺伝子(Apod、Col3a1、Ebf1、Ppar gamma等)は抑制されており、BMMSCマーカー(Grem1、Etv1、Etv5、Rbpj等)は発現を維持していた。加齢と共に骨髄組織は脂肪髄化し、その機能を著しく低下させることが知られている。我々はマウス及び臨床検体において、老化によりLyarの発現が低下していることを確認している。Lyarの制御は老化細胞、老齢マウスへのアンチエイジング効果への応用も期待出来ると考えられる。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Mechanisms of Ageing and Development
巻: 201 ページ: 111619~111619
10.1016/j.mad.2022.111619
Clinical and Translational Medicine
巻: 11 ページ: -
10.1002/ctm2.454