研究課題/領域番号 |
19K09571
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
土屋 弘行 金沢大学, 医学系, 教授 (40227434)
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研究分担者 |
三輪 真嗣 金沢大学, 医学系, 助教 (40753455)
林 克洋 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (80507054)
五十嵐 健太郎 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任助教 (80622860)
山本 憲男 金沢大学, 医薬保健学総合研究科, 特任教授 (90332668)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 蛍光イメージング / エクソソーム / 骨肉腫 / 肺転移 / 骨髄由来マクロファージ |
研究実績の概要 |
近年、エクソソームと呼ばれる微小膜小胞を放出することにより、遠隔の細胞に情報伝達する機構が注目されている。本研究において、我々は高い肺転移能を有する骨肉腫細胞株(LM8)由来エクソソームを蛍光標識し、生体内動態、特に転移巣の形成と骨髄への影響を観察し、さらに薬剤によりマクロファージの活性を調節することでエクソソームの肺への送達量の変化を評価した。まず、紫外線照射により緑色から赤色に変換する蛍光蛋白質の一つであるKikumeGR1と、エクソソームの特異的マーカーの一つであるCD63をligateさせたプラスミドをLM8細胞内に遺伝子導入し、腫瘍細胞由来エクソソームの発現を蛍光顕微鏡下に確認した。次に、5×105のLM8細胞をC3Hマウスの尾部皮下に注入し、2、3、4週間後に蛍光顕微鏡下に肺組織におけるエクソソームの送達を評価した。続いてLM8細胞培養の上清から精製したエクソソームを、マウスから採取した骨髄細胞に添加し、マクロファージの分化を評価した。さらにマクロファージの活性や量を調節する薬剤を安楽死3日前にマウスに投与し、12時間前に腫瘍に紫外線を照射させ、肺細胞内のエクソソームの送達量の変化を蛍光顕微鏡とフロ-サイトメトリーにて評価した。細胞注射後3週目以降の肺組織、特に血管内皮細胞内にエクソソームの送達が確認できた。また腫瘍由来エクソソームにより骨髄細胞由来マクロファージへの分化が抑制されていた。LPSやIFNγ投与後の肺組織でエクソソームの送達はほとんど観察できず、コントロールと比較して、送達量は減少した。一方、クロドロン酸や抗RANKL抗体投与後の肺組織ではエクソソームの送達は増加し、コントロールと比較して、送達量は増加した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
蛍光イメージングにより、骨肉腫由来エクソソームと肺転移を観察することができており、転移メカニズムについての研究を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光イメージングを用いてエクソソームや特定の分子を観察することで、転移メカニズムを解明することができると考えられ、引き続きエクソソームと転移巣における微小環境の変化について研究していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)予定よりも少ない実験動物、試薬で結果が出せたため次年度使用額が生じたが、経過は予定通りに遂行できている。
(使用計画)物品費として使用する予定である。
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