全エクソン解析により先天性橈尺骨癒合症の候補遺伝子としてSMPDL3Aを同定した。SMPDL3A(Sphingomyelin Phosphodiesterase Acid Like 3A)はアミノ酸レベルの相同性がヒトとマウスで79%、ヒトとゼブラフィッシュで54%と種を超えて保存性が高い遺伝子である。つまりSMPDL3Aはヒトの生命現象に重要な分子と言える。しかしながらSMPDL3A遺伝子と骨格に関する過去の報告はない。これまでに我々はin situ hybridization法により、ゼブラフィッシュ胚および幼魚、稚魚において、胸ひれ(ヒト四肢に相当する器官)を中心に頭部~顔面部において特異的な発現を確認している。またSMPDL3A遺伝子改変ゼブラフィッシュを解析したところ、骨格発生・分化に重要なbone morphogenetic protein (BMP:骨形成タンパク質)の制御効果を示すという知見を見出した。さらに病的変異を含むSMPDL3A遺伝子はBMPシグナルを制御しないという知見、および本年度は、SMPDL3Aは古典的Wntを制御するという新知見を得た。以上より、SMPDL3Aは骨格の形態形成に関連した遺伝子の1つである可能性が高い。
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