研究課題/領域番号 |
19K09573
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
三島 健一 名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (40646519)
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研究分担者 |
鬼頭 浩史 あいち小児保健医療総合センター(臨床研究室), 臨床研究室, 副センター長 (40291174)
松下 雅樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (60721115)
長田 侃 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (80815324) [辞退]
神谷 庸成 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (50845542)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 骨壊死 / TLR4拮抗薬 / 破骨細胞 / 骨吸収 / 水溶性ランソプラゾール |
研究実績の概要 |
Toll-like receptors (TLRs)は自然免疫応答において重要な役割を果たす抗原受容体である。壊死骨はTLRsの1つであるTLR4を介してマクロファージを活性化し、炎症性サイトカインを誘導することが報告されている。我々はこうした虚血性骨壊死後に生じる急性炎症を抑制することで骨壊死後の修復機転が活性化されるのではないかと考えている。今期はTLR4拮抗薬であるLPS-RSの虚血性骨壊死に対する効果を調べた。実験はマウスの大腿骨遠位顆部を栄養する主要な血管4本を顕微鏡にて同定し、これらをすべて凝固焼灼して虚血性骨壊死を誘導する動物モデルを使用して行った。馴化した12週齢のC57BL/6雄マウスの左後肢に上記の手術操作を施し、術翌日から週に2回、4週間、LPS-RS 5 mg/kg (薬剤投与群)およびVehicle(対照群)の腹腔内投与を行った。実験中に削痩や脱毛を生じることはなかった。術後2、4、6週で安楽死させ、左後肢から膝関節を残したまま大腿骨と脛骨を採取し、HE染色やTRAP染色による組織学的評価やマイクロCTによる形態学的評価を行った。 術後2週時点では、壊死骨端における骨梁内empty lacunaeの個数には両群間に有意差を認めなかった。マイクロCTで定量評価した壊死骨端内の海綿骨の骨密度にも有意差はみられなかった。一方、薬剤投与群の方が組織学的には壊死骨端内の破骨細胞数は多い傾向がみられた。最終評価では術後6週時点では、壊死骨端の圧潰度に明らかな違いは確認されなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度もコロナ禍によって年度当初は実験手技をサポートしてくれる実験助手や大学院生の活動時間の減少が続き、研究の進捗に少なからず影響した。感染の流行が落ち着き、TLR4拮抗薬単独の効果検証は開始できたが、当初の予定である複数種の薬剤を投与する実験系は実施できていない。
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今後の研究の推進方策 |
来期もマウス大腿骨顆部虚血性骨壊死モデルを使用し、TLR4拮抗薬単独あるいは水溶性ランソプラゾールとの併用投与による壊死骨の圧壊抑制効果を検証していく。今期の動物実験では壊死骨の骨代謝回転がTLR4拮抗薬によって亢進される可能性を示唆する結果が得られたが、骨端の圧潰抑制効果までは確認できなかった。そこでさらに用量あるいは投与回数を増やすこと(連日または隔日で1日複数回投与)によって骨端の圧潰予防が可能かどうかを検証する。また水溶性ランソプラゾール8 mg/kg/day投与群では、骨端の骨形成促進効果が確認できているため、骨壊死誘導後3週までの早期にTLR4の全身投与を行い、その後水溶性ランソプラゾールに切り換えさらに3週間全身投与を行う実験も予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
今期も新型コロナウイルス感染症による人的な研究環境の悪化のため、動物実験は2回しか実施できなかった。研究に必要な物品は過年度の研究期間中に揃えていたため、当初の計画よりも予算の使用額は少なくなり、次年度使用額が発生した。来期は動物実験の実施回数を増やし、費用が掛かる組織学的検査の外注費を計上する予定にしている。
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