Ewing肉腫の原因遺伝子は、RNA代謝に関わるEWSと転写因子Fli1が融合したEWS-Fli1である。EWS-Fli1による発がんは、Fli1側の転写因子機能の異常によると考えられてきた。しかし近年、RNA helicase A (RHA) がEWS-Fli1に結合すること、さらにその結合を阻害する小分子化合物YK-4-279によりEwing肉腫細胞の増殖が抑制されることが報告された。我々はこれまで本疾患の病態をmicroRNAの発現異常という側面から研究してきたが、Fli1の標的ではない多数のmicroRNAの発現異常がみられることから、より普遍的なRNA代謝の異常がEWS-Fli1による発がんの一端を担っている可能性が考えられた。そこで本研究では、EWS-Fli1とRHAの相互作用の詳細を解明し、RNA代謝異常によるEwing肉腫発がんメカニズムを明らかにすることを目的とする。
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