研究課題/領域番号 |
19K09582
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
吉井 雄一 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80617530)
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研究分担者 |
村瀬 剛 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50335361)
岡 久仁洋 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (50724085)
大竹 義人 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (80349563)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | トラッキング / 3次元 / X線 / CT / ナビゲーション |
研究実績の概要 |
本課題の目的は、X線透視画像をもとにした術中変化に対応する3次元形態・位置推定システムによる骨折手術の次世代ナビゲーションシステムの開発である。現在までにX線透視画像における参照点と術前計画で作成した3D画像の参照点を比較することで、被写体の3次元位置を推定するシステムを開発した。X線透視画像における骨の3次元位置推定のために手関節モデルにマーカーを設置しCTを撮像した。マーカーの位置関係を常に一定にするためプラスチックに金属マーカーを設置したスプリントを作成した。CTのDICOMデータから、手関節モデルの3次元骨画像を作成した。次にX線透視画像で手関節モデルを描出し、手関節モデルのマーカーと作成した3次元骨画像のマーカーを対比して手関節モデルの位置変化にあわせて3次元骨画像の位置をトラッキングするシステムとした。開発したシステムについては、「骨部手術の支援装置、支援方法、プログラム、および記録媒体」として国内特許出願した(特願2020-40212、2020年3月9日出願)。開発したシステムを用いてX線透視画像上のマーカー間距離と3次元骨モデルを投影したモニター上の距離を対比して、その誤差を調べた。また3Dスキャナ―で描出した手関節モデルのマーカー間の距離を計測して、X線透視画像と3次元骨モデルにおける距離の比率との相関を調べた。その結果、X線透視画像と3D骨モデルから推定したマーカー位置は前後像、後前像では比較的良好な精度を示したが、側面像では誤差が大きい傾向があった。これはX線透視画像における画面の歪みやマーカーの奥行情報の不足、検出誤差が影響していると考えられた。今後、これらの課題を克服して臨床応用を図っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
X線透視画像における参照点と術前計画で作成した3D画像の参照点を比較することで、被写体の3次元位置を推定するシステムを開発した。手関節モデルを用いた実証実験では、3次元位置推定は手関節部前後像では精度は高いが、側面像では精度が低いことがわかった。側面像におけるトラッキング精度の向上のために、参照点の位置の調整や数を増やして検証を行った。参照点がより立体的な配置であること、参照点の数が多いことがトラッキングに有利であることが画像の再検証から推定された。この間の緊急事態宣言などにより実証実験に遅延が生じている。また今年度中にX線透視画像からの骨の3次元形状推定のためのプログラム開発をすすめる予定だが、こちらも研究者の移動制限などにより実証実験に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
トラッキング精度の向上のために、参照点の位置の調整や数を増やしての骨モデルのX線透視画像の撮像を行いオンラインでの会議やファイル共有サービスなどを利用して、共同研究者との情報交換をすすめる。また移動制限のない地域における同じ研究領域の研究者と連携をはかり、今年度内にX線透視画像からの3次元骨形状推定に関わるプログラムの開発をめざす。システムの開発後にはすみやかに臨床応用をはかれるように画像解析、術前計画、手術シミュレーションなどの予備的検証をすすめる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
移動制限などによる実証実験の遅延のため。
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