研究課題/領域番号 |
19K09584
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
島田 ひろき 金沢医科大学, 看護学部, 教授 (60278108)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 骨・軟骨形成 / 白内障 / 脱毛 / 脂質代謝 / 透明化 |
研究実績の概要 |
本研究は我々が確立した先天性の骨軟骨形成異常,白内障,部分脱毛,皮膚の過角化の病態を示す系統のラットについて,ゲノム解析,脂質プロファイル解析,発生学的形態解析,遺伝子およびタンパク解析等を行い,その病因,病態を明らかにすることを目的としている。 これら全身症状はコレステロール代謝系遺伝子異常が原因であるX連鎖優性Conradi-Hunermann型点状軟骨異形成症と極めて類似しているため,骨・軟骨形成とコレステロール代謝の関連性を明らかにする上で有用であると考えている。また,この系統は白内障単独で発症する系統から派生したものであり,対照ラットと含めて3系統で解析することが重要である。 令和3年度の計画では以下を行う予定であった。 (1) 3系統ラットの全ゲノム解析を受託サービスで行い,コレステロール合成・代謝系に関連する遺伝子変異をピックアップする。(2)3系統ラットの血清中脂質のリピドミクスによるトータルプロファイル解析を受託サービスで行う。(3)対照×全身病態系で交配試験を行い,骨・軟骨形成異常を示す遺伝形式を明らかにする。(4)胎仔,新生仔を我々が開発した透明化技法で透明化して軟骨,骨染色を行い,その形成過程を解析する。また,ゲノム解析で得た結果より,遺伝子産物の免疫染色を行いその局在を明らかにする。 しかしながら,系統を維持している間に,令和元年度で起きた事象と同様に全身病態系の群でその形質が一部弱まってしまう個体が散見されたため,再度より強い形質の個体の交配を続け,病態群の維持と数を増やした。2022年3月時点で,病態群の匹数が実験を行うのに一部不足している段階である。 そのため,上記(1),(2),(3)は計画通りに行っていない。(4)の軟骨,骨形成過程の解析は現在進行中であるが,免疫染色は行っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
全身病態系の群でその形質が一部弱まってしまう個体が散見されたため,より強い形質の個体の交配をして目的の形質をもつ群の維持と数を増やすことになった。そのため,遺伝子解析,メタボローム解析,交配試験ができなかった。軟骨,骨形成過程の透明標本の解析は遅れながらも進行中であるが,遺伝子解析,リピドミクス解析ができなかったため,透明化標本による代謝系酵素または構造蛋白質の免疫染色は行っていない。
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今後の研究の推進方策 |
全身病態系統の個体数を増やしていく。病態系統の形質が不安定なので,現在作製している強い形質を持つ個体の凍結受精卵または凍結胚を作製し保存する。凍結受精卵,凍結胚の作製と保存は本学総合医学研究所生殖工学支援チームが2022年3月より始めているので委託する。 胎仔,新生仔の透明化標本による軟骨,骨形成過程の解析を更に進める。 全ゲノム解析用の試料は既に調製しているので,直ちに受託解析を行う。リピドミクス解析は早急に試料を調製し,解析を進める。 交配試験については,対照×全身病態系を進め,他の交配試験はゲノム解析,リピドミクス解析の結果をみて有用と思われる組合せを選択して行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
全身病態系の群で,より強い形質の個体の交配をして目的の形質をもつ群の維持と数を増やすことになったため,遺伝子解析,メタボローム解析の受託解析ができなかった。そのため,受託解析の費用分が未使用となった。また,学会発表も出来なかったため,その費用も未使用となった。 遺伝子解析用の試料は調製済みのため次年度は受託解析を早急に行う。また,メタボローム解析も試料を調製次第,受託解析する。また,凍結受精卵または凍結胚を作製・保存も委託する。ゲノム解析の結果が出た後に胎仔,新生仔の透明標本で免疫染色を行う。
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