本研究は我々が確立した先天性の骨軟骨形成異常、白内障、部分脱毛、皮膚の過角化の病態を示す系統のラットについて、全身病態がコレステロール代謝系遺伝子異常が原因であるX連鎖優性Conradi-Hunermann型点状軟骨異形成症と極めて類似しているため、骨・軟骨形成とコレステロール代謝の関連性を明らかにする上で有用であると考えている。 そこで、その病因、病態を明らかにすることを目的として、本研究で行う予定の実験は以下の通りであった。 (1) 3系統ラットの全ゲノム解析を受託サービスで行い、コレステロール合成・代謝系に関連する遺伝子変異をピックアップする。(2)3系統ラットの血清中脂質のリピドミクスによるトータルプロファイル解析を受託サービスで行う。(3)対照×全身病態系で交配試験を行い、骨・軟骨形成異常を示す遺伝形式を明らかにする。(4)胎仔、新生仔を我々が開発した透明化技法で透明化して軟骨、骨染色を行い、その形成過程を解析する。また、ゲノム解析で得た結果より、遺伝子産物の免疫染色を行いその局在を明らかにする。 しかしながら、2021年度より全身病態系の群でその形質が一部弱まってしまう個体が散見されたため、2022年度も再度より強い形質の個体の交配を続け、病態群の維持と数を増やした。2023年2月時点で、病態群の不足分が補える匹数となったため、各群2匹づつ、肝臓よりDNAを調製し、全ゲノム解析を行った。現在、その結果について解析をしている段階である。また、上記実験(4)に関して、各群の胎仔、新生仔試料をそろえつつ、透明化および軟骨、骨染色を行っている。
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