広範な皮膚欠損を伴う難治性骨折の治療は整形外科領域にとって非常に困難な問題である。本研究では、研究者が独自に開発したWnt10a遺伝子欠損マウスを用いた骨折治癒過程における Wnt10a の役割を明らかにし、皮膚組織の創傷と骨折の治癒の両方の問題を同時に解決する方法を検討する。研究結果:Wnt10aは創傷の皮膚再生、骨膜の修復や仮骨の形成に対して重要な役割があることが示唆された。特に骨折治癒過程の初期段階では、皮膚欠損部位及び骨膜周囲の線維芽細胞の増殖が促進され、更にBMP-2(骨形成タンパク質)の添加によりWnt10aの発現が有意に増強された。
|