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2021 年度 実施状況報告書

肉腫の分化を標的とした新規治療開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K09589
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

小林 英介  国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (40365292)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード滑膜肉腫 / 脱分化型軟骨肉腫 / TNIK / 脱分化
研究実績の概要

本研究は肉腫のBreakthrough therapyの開発のため、Wntシグナル調節因子であるTRAF2 and NCK-interacting protein kinase (TNIK)および肉腫ではしばしば認められる脱分化という悪性化メカニズムの2つに着目し、新規薬剤の臨床応用を目指すことが目的である。
TNIK阻害の肉腫新規分子標的としての有効性に関して、滑膜肉腫に対する有効性を示した。滑膜肉腫は若年者、特に 30 歳代に最も多く発生する悪性軟部腫瘍である。原発性悪性軟部腫瘍の中で 3 番目に発生頻度が高く、10 年生存率は50%程度である。滑膜肉腫の4つの細胞株(HS-SY- Ⅱ、SYO-1、Yamato、SS、Aska-SS)でWntシグナルとTNIKの活性化を評価し、TNIK 阻害剤 NCB-0846 の IC50 を測定した。その結果、HS-SY- Ⅱと SYO-1 の2つの滑膜肉腫細胞株で Wnt シグナルと TNIK の活性化が認められ、NCB-0846に対して高い感受性を示した。また薬剤高感受性の細胞株を用いて様々な遺伝子に対する siRNA を用いて増殖抑制効果を検討し、NOD/SCID 免疫不全マウスに腫瘍細胞を移植したxenograftでin vivoの増殖抑制効果を確認できた。

脱分化においては脱分化型軟骨肉腫を用いて検討を行い、全エクソームシーケンシング(WES)を行った。その結果、再発時の軟骨成分を有さない高悪性度肉腫が原発である通常型軟骨肉腫の脱分化成分であることを遺伝学的に証明し、原発巣と異なる部位に発生した軟骨肉腫異時性脱分化の存在を世界で初めて確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究はTNIK阻害の肉腫新規分子標的としての有効性の検討および肉腫における脱分化に着目した治療開発である。滑膜肉腫に対するTNIK阻害剤による研究はIn vitroおよびin vivoで順調に検証できている。また脱分化型骨肉腫においてもDNAを抽出し、genomu
解析が終了していることから、現在までに順調に経過している。

今後の研究の推進方策

TNIK阻害剤に関して臨床応用における治験導出に必要な非臨床データを収集する。また脂肪肉腫の脱分化メカニズムを探るために脱分化型脂肪肉腫および高分化型脂肪肉腫患者の凍結組織を用いてInfinium HumanMethylationEPIC BeadChipによる網羅的なDNAメチル化アレイを行い、同一腫瘍内における腫瘍ごとのゲノムおよびエピゲノムプロファイルを比較解析予定である。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の影響に伴う実験の遅れや発表機会の損失があった。また実験の進捗状況による物品購入の関係で余剰が生じたと思われる。次年度以降の物品購入費や人件費、論文投稿費用として使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (1件)

  • [雑誌論文] Direct conversion of osteosarcoma to adipocytes by targeting TNIK2021

    • 著者名/発表者名
      Hirozane Toru、Masuda Mari、Sugano Teppei、Sekita Tetsuya、Goto Naoko、Aoyama Toru、Sakagami Takato、Uno Yuko、Moriyama Hideki、Sawa Masaaki、Asano Naofumi、Nakamura Masaya、Matsumoto Morio、Nakayama Robert、Kondo Tadashi、Kawai Akira、Kobayashi Eisuke、Yamada Tesshi
    • 雑誌名

      JCI Insight

      巻: 6 ページ: e137245

    • DOI

      10.1172/jci.insight.137245

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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