研究課題/領域番号 |
19K09590
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター) |
研究代表者 |
岩澤 三康 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 診療部・整形外科, 部長 (60574093)
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研究分担者 |
福井 尚志 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 政策医療企画部, 特別研究員 (10251258)
大橋 暁 独立行政法人国立病院機構(相模原病院臨床研究センター), 外科系臨床研究室, 医長 (20466767)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 変形性関節症 / 膝関節 |
研究実績の概要 |
本研究ではまず膝関節のOAで時に見られる滑膜性のフレアの症例から採取された関節液の解析を行った。フレア時に関節液中のプラスミン・アンチプラスミン複合体(PIC)やD-dimerの濃度が上昇することから関節内でプラスミン活性が上昇することが予想されたが、実際に関節液検体についてプラスミンの活性を計測したところ、フレアの時期に活性が上昇する傾向は見られず、また次いで行ったtPAの活性計測の結果から関節液中のプラスミン活性は主にtPAによって誘導されると考えられることが明らかになった。またこれらの活性計測と並行して行った関節液のLuminexによる解析から、フレアの前後で関節液中のtPA、およびtPA、uPAの活性を抑制するPAI-1の濃度はほとんど変化しないことも明らかとなった。さらに本研究ではフレアの症例と末期OAに対して人工関節置換が行われた関節から採取された滑膜組織における遺伝子発現の定量PCRによる解析も行った。その結果、OA滑膜ではuPAとMMP-2、MMP-14の遺伝子発現レベルの間に有意の正の相関があることが示され、この結果から滑膜におけるuPAの発現亢進は血管新生に伴って生じているのではないかと考えられた。これらの結果を総合すると、フレアの時期には滑膜で血管新生が生じることでuPAの産生が亢進し、関節液中のuPAが上昇するとともに滑膜組織内でプラスミン活性が誘導される結果、滑膜組織内あるいはその近傍でPICとD-dimerが産生されるのではないかと考えられた。ただし本研究ではフレアの際になぜ血管新生が亢進するのかは明らかにできておらず、またフレアの時期になぜ滑膜において疼痛が発現するのかについても不明なままであり、これらの機序の解明が今後の課題として残された。
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