研究実績の概要 |
関節拘縮の代表的な疾患である五十肩(凍結肩)で軟骨化生が増加する病態を, ビタミンA(レチノイド, 脂溶性)の代謝経路に着目して解明することを目的とする。SDラットオス4週齢に低ビタミンA飼料摂取を開始し、 12週齢で片側膝関節をプ ラスチックプレートとスクリューで150°屈曲位で固定、採血・体重測定(摂取開始時、術前、回収時)を行った.。6週齢から採血を開始し血中ビタミンA濃度は低ビタミンA群で徐々に低下し、12週で明らかにビタミンA濃度に有意差があることを確認した。12週齢で固定を行い、2、4、6週固定で低ビタミンA群とコントロール群の膝関節の関節包を採取した。RNAの抽出を行い線維化、軟骨化生、炎症、血管新生に関わる因子の遺伝子解析を行った。線維化に関わる因子では3型コラーゲンが6週で、TGFβ1が2週と4週で低ビタミンA群で有意に増加した。軟骨化生に関わる因子ではアグリカンが6週で低ビタミンA群で有意に低下し、10型コラーゲンが4週で、SOX9が4週、6週で、ADAMTS5が6週で低ビタミンA群で有意に増加した。炎症に関わる因子ではIL6が2週で低ビタミンA群で有意に増加した。血管新生に関わる因子ではVEGFとeNOSが6週で低ビタミンA群で有意に増加した。超音波顕微鏡を用いた弾性評価では6週で低ビタミンA群で有意に音速の増加がみられた。低ビタミンAのラットにおいて線維化、軟骨化生、炎症、血管新生が生じ、組織の硬化がみられた。
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