研究実績の概要 |
発現制御メカニズム解明のため転写開始点上流4 kbから5’UTRを含むexon 1、イントロン1内1 kbの配列を、ルシフェラーゼ・レポーターアッセイにて解析・評価した。ベースの転写活性はプロモーター領域 4 kb のみ、およびプロモーター1 kb からイントロン1までを含むコンストラクトで強い結果であった。導入細胞種別でみると転写活性はHeLa, 293などがん細胞株では低く、C3H10T1/2, ATDC5, SW1353など間葉系・軟骨系の細胞株で高くなっていた。とくにイントロン1を含むコンストラクトに対する反応でこの傾向が顕著であり、イントロン1内に軟骨分化を制御するエンハンサー配列が存在するものと考えられた。一方SOX5, 6, 9(SOXトリオ)よる転写活性化は見られなかった。EMX2のSOXトリオによる誘導は直接の転写制御によるものではない、または解析対象としていなかったイントロン2や3’UTRに結合エンハンサーが存在するものと考えられた。 相互作用分子の候補として、SOXトリオのほか、RUNXファミリー分子、GATAファミリー転写因子、CEBPβ、p63/73などをピックアップし、293細胞をホストセルに強制発現系を用いたCo-IPを行ったが明らかな直接結合を認めなかった。 下流分子を検索するため、EMX2のアデノウィルス発現系を構築し、ヒト間葉系幹細胞に導入し軟骨分化誘導能を検証した。結果強い軟骨分化を生じRNA-seqやマイクロアレイなどの解析の系として適切であることを確認した。並行していくつかの候補分子をリアルタイムRT-PCRで解析し複数の下流分子を同定した。これらについて軟骨分化誘導能のスクリーニングをC3H10T1/2に対するレトロウィルス発現系で実施したところ、単独で弱い軟骨分化誘導能をもつサイトカインを新たに同定することができた。
|