研究実績の概要 |
EMX2の3’UTRに存在すると想定されたSOXトリオ(SOX5, SOX6, SOX9の組み合わせ)の結合エンハンサーへの細胞内での結合を確認するため、クロマチン免疫沈降法による同領域の特異的な結合をPCRで検出しようと試みた。ところが予測に反して、SOX9単独、SOXトリオのいずれにおいても、該当領域の特異的な増幅は認めなかった。複数の細胞株をターゲットにルシフェラーゼ・レポーターアッセイを再度実施しなおしたところ、結合エンハンサーと想定した部位の反応は細胞種に大きく依存しており、SOX9に反応するもの、SOX5またはSOX6に反応するものにわかれていた。すなわち、ゲルシフトアッセイでの結合は細胞内の生理的な直接結合を反映しておらず、SOXトリオは他の転写結合因子を介して作用しているものと想定された。EMX2はSOXトリオの直接の転写ターゲットではないというのが最終結論である。RELAが作用するイントロン1、基礎転写活性の高い5’UTRをターゲットにより有望なエンハンサー領域の絞込みを試みたが、期間内に終了せず、ファージディスプレイライブラリを用いた新規結合転写因子のスクリーニングまでもっていくことはできなかった。 Myc-EMX2のアデノウィルスベクターを作成、ヒト間葉系幹細胞(MSC)に作用させた蛋白を大量調整したが、最適な培養スケールとアデノウィルスのタイターの条件付に時間がかかり質量分析までもっていくことはできなかった。 C3H10T1/2にレトロウィルスで導入することで軟骨分化が誘導されたサイトカインのうち、AITRL(activation-inducible TNF-related ligand)について、アデノウィルス発現系を作成した。ヒトMSCに導入ししたところ、導入後1~2週間ほどで、アルシアンブルー・ALP染色陽性となり、軟骨分化誘導能が確認された。
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