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2020 年度 実施状況報告書

糖尿病による骨癒合遅延を解消する挑戦的治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 19K09593
研究機関金沢大学

研究代表者

松原 秀憲  金沢大学, 附属病院, 講師 (10507057)

研究分担者 山本 靖彦  金沢大学, 医学系, 教授 (20313637)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード糖化ストレス / 骨折 / ピリドキサミン / AGE / MG / RAGE
研究実績の概要

本研究の目的は,糖尿病患者では骨折後の癒合不全、偽関節形成のリスクが非常に高いことが知られている原因としての糖化ストレス の関与を証明し、それに 対するピリドキサミン(Pyr)での治療を目指すことを目的とする。
In vivo において、まず、昨年度から引き続き行っていた糖尿病マウス(DM)の骨折治癒遷延に対するピリドキサミンの効果を、4群(control, control+pyr, DM, DM+pyr)で比較検討した。uCT,病理学的に糖化ストレスによる骨癒合遷延がpyrにより改善することを確認できた。
In vitroにおいては、糖化ストレス(メチルグリオキサール)と骨癒合遷延の因果関係を示す分子基盤が希薄であったため、メチルグリオキサールと特異的に結 合する蛍光プローブを用いることでメチルグリオキサールの定量化、可視化を行った。骨系統細胞(マウス頭蓋冠由来MC3T3細胞、マウス頭蓋間由来分化骨芽細胞、マウス骨髄血由来分化破骨細胞) において、高血糖環境により増加するメチルグリオキサールが、ピリドキサミンによって減弱することを確認した。またex vivoにおいてマウス長管骨、頭蓋骨においても高血糖によりメチルグリオキサールが上昇し、ピリドキサミンで改善されることを確認した。本年度はさらにIn vivoにおいてマウスの骨密度と血清中メチルグリオキサールに相関があることを確認した。DMマウスだけでなく健常マウスにおいても骨折自体が血清メチルグリオキサールを一時的に増加させることも確認した。今後はさらにPCRなどを施行し分子基盤を明らかにしていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

in vivoでの糖尿病マウスやin vitroでのMGによる糖化ストレスがピリドキサミン(Vit.B6)によって改善するかどうかが本研究の核心 と考えられるが,両方の実験系においてピリドキサミンの効果を確認することができた. 本研究については英語論文を作成し発表済みである。予備分を糖化ストレスを可視化、定量化できるプローブ を用いることでメカニズムを明らかにする段階に進んだ。プローブとピリドキサミンによってMGが造骨細胞、破骨細胞いずれもを減弱しピリドキサミンがこれらの細胞機能を改善することまでin vitroで確認できている。またex vivo, in vivoにおいても同様な傾向を認めており、今後PCRや詳細なμCTなどを用いて更なる解析を行う予定である。

今後の研究の推進方策

当大学血管分子生物学教室の山本靖彦教授らのグループは、糖尿病におけるAGE やその受容体膜タンパクであるRAGE 研究の第一人者であり、これまで糖化ストレスと微小血管障害についての研究発表を精力的に行っており、血管生物学教室に指導をいただきながら,実験をおこなっている.山本教授らのグループと連携しながらマウスの骨折モデルにおけるMGの動態をプローブを用いながら観察し、より詳細な分子基盤を明らかにする予定である。

次年度使用額が生じた理由

(理由) 実験が想定より順調に進展したために、予備分の使用が減少し、新たに購入する物品が抑えられた.コロナにより予定していた旅費が不要となった.
(使用計画) 今後は分子基盤解明のため、さらに実験回数の増加や試薬の購入、外注による検査なども増えてくることが予想される。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件)

  • [雑誌論文] Large Osteochondral Defects of the Distal Tibia Plafond After Septic Arthritis of the Ankle Joint Treated by Arthrodiastasis and Iliac Bone Graft: A Case Report2020

    • 著者名/発表者名
      Hikichi Toshifumi、Matsubara Hidenori、Ugaji Shuhei、Hamada Tomo、Tsuchiya Hiroyuki
    • 雑誌名

      The Journal of Foot and Ankle Surgery

      巻: 59 ページ: 857~862

    • DOI

      10.1053/j.jfas.2020.03.001

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Improvement of locomotive syndrome with surgical treatment in patients with degenerative diseases in the lumbar spine and lower extremities: a prospective cohort study2020

    • 著者名/発表者名
      Kato Satoshi、Kurokawa Yuki、Kabata Tamon、Demura Satoru、Matsubara Hidenori、Kajino Yoshitomo、Okamoto Yoshiyuki、Kimura Hiroaki、Shinmura Kazuya、Igarashi Kentaro、Shimizu Takaki、Yonezawa Noritaka、Yokogawa Noriaki、Tsuchiya Hiroyuki
    • 雑誌名

      BMC Musculoskeletal Disorders

      巻: 21 ページ: 515

    • DOI

      10.1186/s12891-020-03547-0

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Assessment of lateral hindfoot impingement with weightbearing multiplanar imaging in a flatfoot2020

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Yasuhisa、Matsubara Hidenori、Kawashima Hiroki、Aikawa Takao、Ugaji Shuhei、Hamada Tomo、Tsuchiya Hiroyuki
    • 雑誌名

      Acta Radiologica Open

      巻: 9 ページ: -

    • DOI

      10.1177/2058460120945309

  • [雑誌論文] Distal Tibial Tuberosity Focal Dome Osteotomy Combined With Intra-Articular Condylar Osteotomy (Focal Dome Condylar Osteotomy) for Medial Osteoarthritis of the Knee Joint2020

    • 著者名/発表者名
      Igarashi Kentaro、Yamamoto Norio、Hayashi Katsuhiro、Matsubara Hidenori、Takeuchi Akihiko、Miwa Shinji、Tsuchiya Hiroyuki
    • 雑誌名

      Arthroscopy Techniques

      巻: 9 ページ: e1079~e1086

    • DOI

      10.1016/j.eats.2020.04.004

  • [雑誌論文] 仮骨延長法を用いた骨再建2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 土屋弘行
    • 雑誌名

      日本臨牀

      巻: 78 ページ: 352-356

  • [雑誌論文] 自家骨棘移植を用いた遠位脛骨斜め骨切り術の1例2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 相川敬男, 吉田泰久, 宇賀治修平, 渡邊孝治, 土屋弘行
    • 雑誌名

      日足の外科研会誌

      巻: 41 ページ: 362-365

  • [雑誌論文] 遠位脛骨斜め骨切り術が膝アライメントに与える影響についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 濱田知, 引地俊文, 土屋弘行
    • 雑誌名

      日足の外科研会誌

      巻: 41 ページ: 139-141

  • [学会発表] 遠位脛骨斜め骨切り術が膝アライメントに与える影響についての検討2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 濱田知, 引地俊文, 土屋弘行
    • 学会等名
      日本整形外科学会学術総会
  • [学会発表] 先天性脛骨偽関節症の骨癒合後に対する脛骨仮骨延長術2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 野村一世, 濱田知, 引地俊文, 土屋弘行
    • 学会等名
      日本創外固定・骨延長学会学術集会
  • [学会発表] 骨形成における力学刺激について2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 高田宗知, 濱田知, 引地俊文, 下川寛右, 土屋弘行
    • 学会等名
      日本整形外科学会基礎学術集会
  • [学会発表] 内側アプローチによる足関節固定術2020

    • 著者名/発表者名
      松原秀憲, 引地俊文, 下川寛右, 土屋弘行
    • 学会等名
      日本足の外科学会学術集会

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公開日: 2021-12-27  

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