研究実績の概要 |
本研究は,糖尿病患者では骨折後の癒合不全、偽関節形成のリスクが非常に高いことが知られている原因としての糖化ストレスの関与を証明し、それに 対するピリドキサミン(Pyr)での治療を目指すことを目的とする。 In vivoにおいて、まず、昨年度から引き続き行っていた糖尿病マウス(DM)の骨折治癒遷延に対するピリドキサミンの効果を、4群(control, control+pyr, DM, DM+pyr)で比較検討した。uCT、病理学的に糖化ストレスによる骨癒合遷延がpyrにより改善することを確認でき、英語論文にて研究結果を公表し社会貢献を果たした。 さらに研究を深化させ、In vitroにおいて、糖化ストレス(メチルグリオキサール)と骨癒合遷延の因果関係を示す分子基盤が希薄であったため、メチルグリオキサールと特異的に結合する蛍光プローブを用いることでメチルグリオキサールの定量化、可視化を行った。骨系統細胞(マウス頭蓋冠由来MC3T3細胞、マウス骨髄血由来破骨細胞) において、高血糖環境により増加するメチルグリオキサールが、ピリドキサミンによって減弱することを確認した。さらなる解析のためにRT-PCRやリアルタイムでのイメージング、細胞内局在の検討を行っている。 今後は研究をさらに深化させ、糖尿病マウスの骨折治癒過程におけるメチルグリオキサールの関与をより明瞭にするために、プローブを用いた生体内イメージングを視野に検討を行った。研究は既に終了しており、現在公表のために英語論文を作成中である。
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