研究課題/領域番号 |
19K09594
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
波呂 浩孝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10313264)
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研究分担者 |
安藤 隆 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (10377492)
小山 勝弘 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (30313779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 椎間板変性 / トロンビン / MCP-1 / PAR1 / MMP3 |
研究実績の概要 |
椎間板変性のメカニズムを特定することは、腰椎疾患の成因解明に極めて重要である。我々は、これまでに椎間板ヘルニア退縮のメカニズムを同定してきており、炎症性サイトカイン(TNF-α、TWEAK、MCP-1)や蛋白分解酵素(MMPs)や血管新生因子(VEGF)やマクロファージの遊走が、重要であることが明らかとなっている。椎間板ヘルニア退縮と椎間板変性の機序において、いずれも炎症に起因することがわかっており、今回、これら一連のメカニズムのイニシエーターを同定すべく、実験を行った。その結果、新たな炎症イニシエーターとして、凝固因子として知られるトロンビンが候補にあがった。研究成果として以下のことが実験で明らかになった。1)マウス椎間板には、トロンビンの受容体であるPAR1が発現していること、2)トロンビンはPAR-1を介し椎間板に作用し、MCP-1発現を増加させること、3)そのMCP-1はマクロファージ遊走能を促進させること、4)また、トロンビンの刺激がマウス椎間板におけるMMP-3の発現を増加させ、5)さらに椎間板の変性をみたサフラニンO染色では髄核の変性がより進行していることががわかった。以上の結果よりトロンビンは椎間板において炎症を促進させ、変性をもたらす標的因子の一つであると考えられた。トロンビンの椎間板における細胞内シグナルの検討をしたところ、pP42/44およびpAKTが重要な役割を示すことがわかった。さらにPAR1から受けるシグナル経路としては、pP42/44がpAKTよりも上流であることも示唆された。しかし、トロンビンが実際に変性のどの段階に作用しているかは、いまだに不明な部分があり、さらなるメカニズム解明を進めていく予定である。
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