| 研究課題/領域番号 |
19K09599
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| 研究機関 | 神戸大学 |
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研究代表者 |
藤本 卓也 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (00397811)
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| 研究分担者 |
鈴木 実 京都大学, 複合原子力科学研究所, 教授 (00319724)
河本 旭哉 神戸大学, 医学研究科, 特命講師 (30420558)
安藤 徹 神戸学院大学, 薬学部, 助教 (50639226)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | ホウ素中性子捕捉療法 / 類上皮肉腫 / BNCT / 細胞株 / ホウ素製剤 / BPA / LAT1 / CD98 |
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| 研究実績の概要 |
類上皮肉腫は若年成人に好発する稀な肉腫であり、通常型である四肢に好発する遠位型と主に体幹に好発する近位型に分類される。ヨーロッパでの発生率は１００万人あたり僅かに0.3人であり、さらに近位型はその３分の１と非常に少ないが、近位型は遠位型に比較して悪性度は高く予後は悪い。治療は手術による全切除が基本となるが、抗がん剤および一般的な放射線治療は効果に乏しく、新たな治療方法が模索されている。この様な状況下で近年、腫瘍細胞にホウ素製剤(BPA)を選択的に取り込ませた後に、体外から中性子線を照射し腫瘍細胞のみを選択的に死滅させるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)が特に脳腫瘍、頭頚部領域の腫瘍で施行され良好な治療成績が報告されている。BNCTにおいて重要な役割を担うBPAは、腫瘍細胞膜に発現し腫瘍細胞の増殖に必要な必須アミノ酸を細胞内に取り込むL型アミノ酸トランスポータ１(LAT1)を介して取り込まれる。つまり、類上皮肉腫の腫瘍細胞がLAT1を発現していれば、その腫瘍細胞がBPAを細胞内に取り込むことが予想されBNCTによる治療効果が期待できることとなる。そこで、近位型類上皮肉腫の臨床例の手術時の組織検体を用いてLAT1の発現を免疫組織化学にて検討するとLAT1の強い発現を認めた。これは、治療方法の限られた近位型類上皮肉腫に対してもBNCTが期待できることを意味する。そこで、近位型類上皮肉腫の細胞株を用いて、先ずはBPAの取り込みを検討することとした。1種類しかない近位型細胞株、HS-ES-1を入手し培養を行った。現在、培養条件の設定を終了し、LAT1発現等についてwestern blotでの解析について検討をおこなっている。また、近位型類上皮肉腫の臨床例でのLAT1発現については、そのBNCTによる治療の可能性についての症例報告を準備中である。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
近位型類上皮肉腫臨床例の組織検体を用いた免疫組織化学では、LAT1の発現を確認できた。しかし、近位型類上皮肉腫は極めて稀な肉腫であるため、入手可能な細胞株は、現在のところ１種類しかなく、その細胞株を入手し培養するも、細胞増殖能が緩徐であるため細胞培養に時間を要した。また、ホウ素製剤であるBPAを入手し2019年度の年度末から2020年度初めにかけて培養細胞株を用いたホウ素取り込み能の評価を計画したが、社会的情勢から取り込み試験を2020年度初めに施行することとした。
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| 今後の研究の推進方策 |
本研究の最終目標は、近位型類上皮肉腫の担がん動物モデルを作成し、その動物モデルを用いてBNCTによる抗腫瘍効果を検討することである。BNCTでは、腫瘍細胞へのホウ素取り込みの評価、BNCTを施行など他施設での共同研究を要する。現在は新型肺炎による他施設訪問の規制があるので規制が解除され次第に細胞株、および担がん動物モデルでのホウ素製剤の取り込みの評価を行う予定である。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2020年1月から2020年3月にかけての2019年度年度末に、培養細胞株を用いてホウ素製剤BPAの取り込み試験を行う予定であったが、新型肺炎の影響で実験を中止した。また、2020年3月に台湾での台湾ー日本のBNCT合同カンファレンスで発表予定であったが、新型肺炎の影響で延期となり、その費用が未使用となった。繰り越した次年度使用額は、実験の費用および、台湾とのBNCT合同カンファレンス開催が決定すればその参加費用に使用する予定である。ただし、新型肺炎の影響で、引き続き台湾でのカンファレンスが中止となれば、近位型類上皮肉腫の臨床例の雑誌での報告の費用に使用する予定である。
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