腰部脊椎を繋ぐ黄色靭帯の肥厚によって起こる脊椎管狭窄症の新規治療法開発を目的として、組織学的変化としての軟骨化生が顕著な肥厚黄色靭帯において、実際に生化学的にも軟骨組織様のグリコサミノグリカンのサブタイプが増加していることを明らかにするため、肥厚部位のより詳細な生化学的解析、比較対照となる正常靭帯のさらなる成分解析と、統計解析をおこなった。その結果、肥厚部位ではコンドロイチン硫酸の一硫酸体、ケラタン硫酸の増加が示された。この変化は、肥厚黄色靭帯で組織学的に観察される軟骨化生の所見と一致している。また肥厚黄色靭帯において、これらのグリコサミノグリカンサブタイプが治療の生化学的標的となり得ることを示唆する結果である。
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