研究課題/領域番号 |
19K09602
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小関 弘展 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (70457571)
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研究分担者 |
志田 崇之 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (00625733)
尾崎 誠 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (20380959)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 不動 / 骨萎縮 / 骨強度 |
研究実績の概要 |
2021年度は研究の第3段階として、「不動性骨萎縮への介入実験」というテーマを掲げ、8週齢のSPF Wistar系ラット400匹を対象に食事の栄養素、現在使用されている様々な骨粗鬆症薬の種類と量による効果の有無、外固定の材料(材質)や種類による違い、外固定中の運動療法(等尺性筋収縮運動、健肢有酸素運動、運動療法の持続時間や頻度)の効果について、いくつかの条件を定めた上で検討した。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により、必要物品の手配、購入、納品に長期間を要したため、全ての項目について研究期間内に完遂することは不可能であった。得られた範囲内の研究成果を次に示す。食事、栄養素に関してカルシウム、たんぱく質、ビタミンDの欠乏は骨密度低下の原因となることが示されたが、過剰に摂取しても適正量との骨密度は差が無かった。つまり栄養素の重要性が示唆された一方で、適正量以上では仮説したほどの有意な違いは見いだすことができなかった。骨粗鬆症薬については、本研究で使用した全ての薬剤に骨萎縮の予防(骨密度維持、骨微細構造の劣化防止、機械的強度の低下防止)効果を認めた。特に、ビスホスホネートと副甲状腺ホルモン(PTH製剤)の機械的骨強度(3点曲げ強度、圧縮強度)維持効果が優れていた。運動療法の各方法による効果の違いは未だ解明できる段階に至っていない。以上より、不動性骨萎縮の予防対策として栄養素、骨粗鬆症薬、外固定中の運動療法の全てにある程度の効果が期待できると考えられる。ただし、その相乗効果については今後より詳細な条件設定のもと研究を展開していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不動性骨萎縮の病態解明と骨強度への影響については概ねデータが収集できた。また、不動性骨萎縮への介入として食事の栄養素、現在使用されている様々な骨粗鬆症薬の種類と量による効果の有無、外固定の材料(材質)や種類による違い、外固定中の運動療法(等尺性運動、健肢運動、持続時間、回数)の効果についてもデータ収集を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
栄養素(Ca、P、タンパク質、ビタミン、ミネラル、カロリー等)、現在使用されている各種骨粗鬆症薬の種類(Vit.D製剤、ビスホスホネート、PTH製剤等)については供給元が1社のみであり、普遍性が十分とは言えない。他の製品での効果判定も必要である。また外固定の材料(プラスチック、装具、石膏等)、種類(ギプス、シャーレ、シーネ等)、厚み、巻き方の違いについても個々のばらつきがあるという課題があり、今後克服していく予定である。外固定中の運動療法(等尺性運動、健肢運動、持続時間等)の効果に関しては、ラット個体間での運動量の差が大きいという問題をいかに解決していくか検討の余地が残る。さらに、こうした対策の相乗効果については今後研究を展開していく必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大による物流の停滞および実験施設利用の制限などにより、物品の購入、設備利用が予定通りに進まなかったことが主な原因である。今後、物品の納品や設備使用の制限緩和などの条件が整い次第、順次計画に沿った研究費の使用を予定している。具体的には、異なる供給元からの栄養素の実験、骨粗鬆症薬の種類による機械的強度試験の物品購入と設備使用費、および延期となった旅費に充てる予定である。
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