近年ステロイドの長期服用者が増加するに伴い、ステロイド性骨粗鬆症が問題となっている。ステロイド性骨粗鬆症においては骨密度が保たれていても骨折リスクが高くなることが知られているが、その機序は明らかになっていない。一方、dynamic contrast-enhanced MRI(DCE-MRI)をもちいて閉経後骨粗鬆症患者で大腿骨近位部の血流が低下していることが報告されている。われわれはDCE-MRIを用いてステロイド単回大量投与を行う家兎骨壊死モデルにおいてステロイド投与後早期の骨内の血流評価方法を確立した。本研究はステロイド性骨粗鬆症における骨内の血流変化を評価し、予防法を確立することを目標とした。 本年度は卵巣摘出後骨粗鬆症やステロイド性骨粗鬆症の骨内血流を評価するため、卵巣摘出術(OVX)+生食、sham+ステロイド群、sham+生食群およびOVX+ステロイド群について各3羽ずつMRIの撮像が終了した。新型コロナウイルス感染症蔓延による影響で、他施設で撮像が必要なmicro CTやDXAは撮像できなかった。。 MRIによる解析では、DCE-MRI撮像後にそれぞれに信号強度をプロットして作成したtime signal intensity curveを作成し、enhancement ratio(ER)、initial slope(IS)およびarea under curve(AUC)の3項目を評価した。sham+生食群、sham+ステロイド群およびOVX+生食群では3項目ともに明らかな差は認めなかった。OVX+ステロイド群で3項目ともに低下した個体もいたが、統計学的に有意差は認めなかった。 以上の結果を踏まえて、今後micro-CTおよびDXAによる骨量構造や骨密度の調査と併せて、来年度の学会で成果報告をしたいと考えている。
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