研究課題/領域番号 |
19K09604
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
平川 義弘 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60735976)
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研究分担者 |
玉井 孝司 大阪市立大学, 大学院医学研究科, 病院講師 (30711824)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 加熱式たばこ / heated tobacco products / MC3T3E1 / 骨癒合 / 骨分化 |
研究実績の概要 |
【目的】燃焼式タバコの骨癒合に対する阻害作用は報告されているが、加熱式タバコに関しては明らかではない。本研究の目的は加熱式タバコが細胞毒性、骨分化、骨癒合に与える影響を燃焼式タバコと比較し明らかにすることである。 【方法】タバコ抽出液(Cigarette Smoke Extract;以下CSE)を燃焼式タバコ(cCSE)、加熱式タバコ(hCSE)でそれぞれ作成し、吸光度を測定して濃度を標準化した。In vitro実験として、前骨芽細胞であるMC3T3E1に希釈したcCSE、hCSEを投与し、MTT assayを用いて細胞生存率を測定した。また、BMPを投与した骨分化誘導条件下にcCSE,、hCSEを投与しALP活性、Alizarin red染色を用いて骨分化阻害作用を評価した。In vivo実験としてLewis Latの大腿骨骨切りモデルに対してPBS、cCSE、hCSEを腹腔内投与し、4週後μCTを用いて骨組成、仮骨体積を評価し、3点曲げ試験により力学強度を測定した。 【結果】MC3T3E1の細胞生存率はcCSE、hCSE群共に時間、濃度依存性に有意に低下した。生存率が低下しない1%濃度を骨分化モデルに投与したところ、hCSE群のALP活性は対称群より有意に低く、cCSE群より高かった。Alizarin Red染色の陽性細胞面積も同様の結果であった。In vivo実験では、骨塩量、仮骨体積がcCSE、hCSE群共に対称群と比較して有意に低下したが、両群間に差はなかった。力学試験では最大荷重、弾性率がhCSE群において対称群より有意に低くcCSE群より高かった。 【考察および結論】本研究結果から加熱式タバコも燃焼式と同様に細胞生存率を低下させ、骨分化、骨癒合の阻害をもたらすことが明らかとなった。骨癒合を必要とする手術に際して、整形外科医は加熱式タバコの禁煙も勧めるべきである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の研究成果により、加熱式タバコも燃焼式と同様に細胞生存率を低下させ、骨分化、骨癒合の阻害をもたらすことが明らかとなった。この結果を踏まえて論文を作成し、現在整形外科系のトップジャーナルにrevisionである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究結果を踏まえて論文を作成し、トップジャーナルに投稿、掲載予定である。
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