本研究の目的は加熱式タバコが骨癒合に与える影響を基礎的研究にて明らかにすることである。燃焼式、加熱式タバコでそれぞれタバコ抽出液を作成し、前骨芽細胞に投与し、細胞生存率と骨分化阻害作用を評価した。また、ラットの大腿骨骨切りモデルに対して各抽出液を投与し、4週後に骨組成、仮骨体積と力学強度を測定した。細胞生存率は両群共に時間、濃度依存性に有意に低下した。骨分化モデルでは、両群ともにALP活性が低下した。動物実験では、骨塩量、仮骨体積、また力学強度が両群共に対称群より有意に低下した。本研究結果を踏まえ、骨癒合を必要とする手術に際して、外科医は加熱式タバコの禁煙も勧めるべきである。本研究により、近年国内でも爆発的に普及している加熱式タバコが燃焼式タバコと同様に細胞生存率を低下させ、骨分化、骨癒合の阻害をもたらすことが明らかとなった。研究成果は『The Journal of Bone and Joint Surgery』(IF = 5.284)に論文掲載された。本研究結果を踏まえて、骨折治療中や骨癒合を必要とする手術に際しては燃焼式タバコだけではなく加熱式タバコの禁煙も勧めるべきであると考えられる。
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