研究課題/領域番号 |
19K09605
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
倉谷 麻衣 埼玉医科大学, 医学部, 助手 (50758109)
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研究分担者 |
片桐 岳信 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (80245802)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 軟骨 / 骨 / 遺伝性疾患 |
研究実績の概要 |
多発性外骨腫症 (Multiple Hereditary Exostoses: MHE) は、全身の骨や軟骨に腫瘍が発生する遺伝性疾患である。MHEは、プロテオグリカンの糖鎖合成酵素のExt1もしくはExt2の変異によって、発症することが知られている。本研究では、Ext1及びExt2変異による骨軟骨腫の発症メカニズム、及び創薬標的分子の同定を目的としている。2019年は、細胞株を使用して、Ext1及びExt2のin vitroノックアウトを計画した。MHEの患者で認められる遺伝子変異は、機能欠失変異であると考えられている。よって、遺伝子上でのExt1及び、Ext2のノックアウトが MHEを模倣すると考えられる。現在、Ext1及びExt2に特異的なガイドRNAを設計し、エレクトロポレーション法による遺伝子導入の条件を検討し、Ext1遺伝子をノックアウトし、細胞のクローン化を進めている。また、マウス正常組織より、野生型Ext1及び野生型Ext2 cDNAをクローニングし、発現ベクターを構築した。また、部位特異的変異導入法によって、多発性外骨腫症で見つかっている変異を導入した発現ベクターも、合わせて構築した。細胞株へ、Lipofection法によってベクターを導入し、Ext1及びExt2タンパクの発現を確認できている。2020年度は、上述のExt1及びExt2のKO細胞、及び過剰発現細胞を使用し、網羅的解析をはじめとした分子生物学的解析を進める予定である。特に、Ext1変異と骨・軟骨代謝に重要なBone Morphogenetic Protein (BMP)シグナルとの接点を中心に解析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、今後の解析に必要な細胞株及び、実験材料の準備を着々と進めることができた。また、実際にExt1及びExt2の過剰発現実験を行い、予備的な結果を得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
樹立中のExt1及びExt2のノックアウト細胞、及び過剰発現細胞を使用して、BMPシグナルとの接点と発症メカニズムの解析についてin vitroで解析を進める。MHEにおけるExt1の変異によって、BMP活性が亢進することが報告されているため、実際にどういったメカニズムでプロテオグリカンの糖鎖が変化し、BMP活性が活性化されるのか解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一般試薬および消耗品購入に計上していた物品費が、予想より低く抑えられたため、次年度の一般試薬および消耗品購入に充てる予定である。
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