研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は,タラゼラチン生体接着剤の接着強度と生体適合性を,新鮮凍結死体の指神経およびラットモデルの坐骨神経で検討することである.生体力学的強度試験ラットの坐骨神経を機能評価および病理組織学的評価に使用した.タラゼラチンの最大破壊荷重は,フィブリンよりも有意に高く(0.22N vs 0.06N)、タラゼラチの最大破壊荷重は、縫合糸り有意に小さかった。機能評価および組織学的検査により,タラゼラチンで修復した坐骨神経は,縫合糸およびフィブリンで修復した場合と同様の神経回復を示すことが明らかとなった.タラゼラチンはフィブリンと比較して高い接着強度を示し,同等の神経再生効果を示した.
末梢神経
タラゼラチンは, 神経接着において従来のフィブリン製剤と比較して, 高い接着強度を持ち, 組織再生を阻害しないと示された.本研究の結果から今後タラゼラチンはフィブリン糊に変わって臨床に用いられる可能性が示唆され,新たな医療材料を提供できる可能性が示された. 一方, タラゼラチンのみでは, 従来の縫合には強度が及ばず, 今後のさらなる強度の改良が必要と考えられた.