研究課題/領域番号 |
19K09609
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
遠藤 健司 東京医科大学, 医学部, 准教授 (90266479)
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研究分担者 |
山本 謙吾 東京医科大学, 医学部, 主任教授 (10246316)
澤地 恭昇 東京医科大学, 医学部, 講師 (20571152)
鈴木 秀和 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (40317871)
高松 太一郎 東京医科大学, 医学部, 助教 (90459561)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 椎間板性疼痛 / 炎症 / オートクライン / インターロイキン |
研究実績の概要 |
椎間板性疼痛発症の病態は慢性的な微小炎症状態であり,これにより誘導される細胞外基質分解酵素による椎間板変性と,次いで起こる神経成長因子(NGF)依存的な非生理的神経侵入が同病態形成の分子機構として考えられている. Interleukin (IL)-1αおよびβは,細胞外基質分解酵素およびNGF発現に加え,COX-2や種々の炎症誘導タンパク質発現を促す炎症性サイトカインであり,その生理活性は内因性阻害タンパク質IL-1Raとの量的バランスにより制御される.しかしながらこれら3分子の椎間板性疼痛発症過程における発現調節機構は不明である. 本研究では,椎間板が免疫特権を持つ組織といった特徴を持つことから,免疫細胞等を介さず椎間板細胞由来IL-1が自身または近傍の椎間板細胞をautocrine様にpositive feedback機構により刺激することで慢性微小炎症状態を形成するといった機序の存在を解明し,さらにその制御を目指し,IL-1の細胞内情報伝達経路であるmitogen-activated protein (MAP) kinaseおよびその脱リン酸化酵素であるdual-specificity phosphatase (DUSP)1に着目しを検討することで椎間板性疼痛保存治療の新たなアプローチを探る. 当該年度は,ヒト椎間板細胞を用いて外因性に添加したIL-1により誘導されるIL-1α, IL-1βおよびIL-1Raの3分子の発現に対するDUSP1の関与について,siRNAによりDUSP1 knockdown細胞を作成し,その解明を試みることを目的とした. 当該研究成果により,椎間板性疼痛の発症形成にDUSP1によるIL-1群の発現制御の可能性が期待され,我が国において有訴率の高い腰痛に対する新たな治療法の開発に寄与することを本研究の意義とする.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験は,おおむね研究計画通りに進んでおり,一定の研究成果が得られている. しかし,論文作成にあたりタンパク質レベルの解析が必要となったが,その解析に技術的な困難が生じたため,全体的な進捗状況としては,やや遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
IL-1α, IL-1βおよびIL-1Raについてタンパク質レベルでの解析についてWestern blot法を試みたが,本年度はより検出能力が高いとされるELISA法やmultiplex法による解析を試みる. また,研究成果を広く公表すべく,専門誌への投稿を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は,siRNA導入によるDUSP1 knockdown椎間板細胞を確立し,IL-1α, IL-1βおよびIL-1Raの発現調節におけるDUSP1の役割解明を試みたが,効率的に研究遂行がなされたため次年度使用額が生じた. 生じた次年度使用額および残り助成金は,研究成果を広く周知すべく専門誌への投稿を目指し,IL-1α, IL-1βおよびIL-1Raをタンパク質レベルで解析するためのELISA kit等の消耗品経費および論文投稿に関わる経費(英語校閲,投稿料等)として使用することを計画している.
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