研究実績の概要 |
本研究では「なぜ骨壊死が大腿骨頭に好発するのか」という問いに着目し検討を行っている。既に骨頭が圧潰し手術を行った特発性大腿骨頭壊死症患者の単純、造影MRI所見、そして摘出骨頭の病理所見を対比させた。壊死した骨組織は血流がないため造影効果を認めず、非造影域と病理組織学的壊死部の範囲は一致していた。骨頭中央から前方にかけて造影効果がない、すなわち虚血に至っている症例が多く、大腿骨頭の中でも虚血(骨壊死)に至る部位的相違があり、大腿骨頭のより詳細な血行動態に着目することが、骨壊死が大腿骨頭に好発する原因を研究する一助になり得ることが示唆された。単純および造影MRI所見と病理組織学的所見を対比させた本研究結果を2022年Scientific Reportsに報告した(Ikemura S, et al. The influence of bone marrow edema for the assessment of the boundaries of necrotic lesions in patients with osteonecrosis of the femoral head)。 また大腿骨頚部軸に沿ったMRI水平断像と一般的に撮像する体軸に沿った水平断像を比較検討した結果、大腿骨頚部軸に沿った水平断像の方がより正確な前後方向の壊死範囲を同定できることが分かった。更に大腿骨頚部軸スライスで得られた壊死範囲は体軸スライスで得られた壊死範囲よりも関節予後と相関することが判明し、研究成果を2022年Journal of Bone and Joint Surgery American Volumeに報告した(Ikemura S, et al. The Discrepancy in the Posterior Boundary of Necrotic Lesion Between Axial and Oblique Axial Slices of MRI in Patients with Osteonecrosis of the Femoral Head)。
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