研究課題/領域番号 |
19K09634
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
藤田 順之 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30348685)
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研究分担者 |
堀内 圭輔 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 整形外科学, 准教授 (30327564)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 椎間板 / ヒアルロン酸 |
研究実績の概要 |
ヒアルロン酸(hyaluronic acid; HA)は、水分保持の役割を持つなど、各臓器にけるその重要性が報告されているが、椎間板における役割はいまだ不明である。本研究の目的は椎間板変性におけるHA代謝を解明することである。我々はヒアルロン酸分解酵素のHYAL1およびHYAL2の発現につき、ヒト変性椎間板組織を用いた免疫染色で検討した。培養実験では、手術中に採取した椎間板組織から抽出したヒト椎間板細胞と、我々が過去に報告している椎間板髄核様細胞株U-CH1-Nを用いた。変性惹起にはTNFαを用いた。HAを添加、またはloss of function studyとしてヒアルロニダーゼを添加することで、HAの機能を検討した。 ヒト椎間板における免疫染色では、変性が進行するとHYAL1の発現が有意に上昇するのに対し、HYAL2の発現に変化は見られなかった。In vitroにおいても、U-CH1-NにおいてTNFαを添加すると、HYAL1の発現が有意に上昇することがReal-time RT-PCRおよびWestern blotで確認された。また、ヒト椎間板細胞とU-CH1-Nにおいて、TNFα添加による炎症性サイトカインやCOX-2などのcatabolic factorの上昇がHAの添加によって抑制されること、逆にヒアルロニダーゼを添加培養するとcatabolic factor の発現が有意に上昇することが、Real-time RT-PCR で確認された。 変性椎間板ではHYAL1の発現が上昇していることから、同分子が椎間板変性におけるHA代謝を主に調節していることが示唆された。また、本研究によりHAが椎間板変性を抑制する機能があることが示唆された。以上より、HA代謝を制御することにより椎間板変性を抑止できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、1)髄核の組織恒常性維持におけるFlt-1の機能解明、2) 繊維輪における変性とヒアルロン酸代謝の関係について進める予定であるが、後者の方においてin vitroであるが、おおむね予定通り進めることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
今後HYBIDの発現制御メカニズムやgain of function、loss of function解析をin vivoで行う。HYBID knockoutマウスが提供されることから、本マウスを用いて、その椎間板を組織学的評価を行い、HYBIDの椎間板における機能解析をin vivoで行う予定である。また、椎間板の質的変化等の微細な変化をとらえるために、MRIの撮像法の一つであるQ-space imaging(QSI)を用いる予定である。QSIは生体内の水分子の拡散という性質に着目し、その方向性の強い組織を可視化する方法であり、これまでに本撮像法を用いて、神経の脱髄の可視化に成功している。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬の購入について、キャンペーン価格で予算より安く購入出来た為、次年度に繰越しが出来ました。
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