研究課題/領域番号 |
19K09635
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
山本 卓明 福岡大学, 医学部, 教授 (20336035)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脆弱性骨折 / 股関節 / 肩関節 / 関節破壊 |
研究実績の概要 |
【対象】股関節については、人工股関節置換術を施行され、病理組織学的にSIFと診断された症例のうち、発症直後と手術直前の経時的レントゲン変化の検討が可能であった13大腿骨頭を対象とした。内訳は、男性2例、女性11例、年齢は59-78歳(平均年齢68歳)であった。肩関節については、当科においてSIFと診断され、急速な関節破壊を呈した2症例について臨床像、画像所見、病理像を検討した。病理組織学的には、摘出骨頭標本はホルマリン固定・脱灰の後、H.E染色を行った。SIFの病理診断は、骨折線とその周囲に仮骨・肉芽組織が認められるものとした。 【結果】股関節では、13例全例において発症後6カ月以内に骨頭外側を中心に圧潰変形を来していた。発症から手術までの期間は、1-9ヵ月(平均5.6ヵ月)であった。関節裂隙は0.4-2.0 mm/month(平均0.7mm/month)の速さで急速に狭小化していた。病理組織学的には、骨折像に加え、骨軟骨破壊産物を含む肉芽腫性病変を全例に認め、さらに関節軟骨の破砕片も骨髄内に認められた。関節軟骨は荷重部を中心に非薄化していたが、それ以外の部位では保たれておりchondrolysisの所見は認めなかった。また、crystal depositionの所見も認めなかった。 肩関節においては、二例の急速破壊例のSIFが見出された。肩関節におけるSIFは股関節と同様、骨粗鬆症を有する高齢女性にみられた。初診時X線検査でcrescent signを認める例や骨頭形態は保たれているが軽度下方転位を認めた。また、初診時には異常なく経過中に骨頭圧潰が生じ、急速な関節裂隙の狭小化を伴いながら骨頭とともに関節窩にも破壊が生じており、わずか2ヵ月間で関節破壊が急速に進行していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例解析も順調に経過しており、おおむね計画通りと考えらえる。
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今後の研究の推進方策 |
更に、症例収集を継続し、併せて、病態解析を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は、症例収集に主眼をおいたため、次年度に繰越金が生じた。令和2年度は更に、症例収集を継続しつつ、併せて病態解析を進める計画であり、解析に必要な物品の購入を予定している。
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