研究課題
前年度から引き続き、これまで申請者らが着目してきた、RunxファミリーのひとつであるRunx3とPrg4の関連を調べた。Prg4CreERt2マウスとRunx3floxマウスを掛け合わせ(Prg4CreERt2;Runx3flox)、変形性膝関節症(OA)モデルを作成し、組織学的解析を行った。Prg4CreERt2;Runx3floxマウスではコントロールに比べて、OAの進行が進んでいた。また、そのメカニズムはRunx3が軟骨保護因子のAcan/Prg4の発現を誘導することで、軟骨保護的に働くと示唆された。次に、変形性膝関節症以外の組織におけるPrg4陽性細胞の働きに着目した。マウスのアキレス腱を針で穿刺すると、その修復過程において本来出来てはならない軟骨や骨が腱の一部分に生じる。このモデルを用いて1細胞毎に発現遺伝子を解析するシングルセル解析を行い、修復過程に関わる細胞を全て解析したところ、プロジェニター細胞集団の中にはPrg4陽性細胞があり、Prg4陽性細胞群ではWntシグナルを活性化させるRspo2が高く発現していた。RSPO2の分泌は周囲の細胞の軟骨化や骨化を抑制しており、後縦靭帯骨化症の発症にも関わっていることが分かり、腱、靱帯におけるPrg4陽性細胞は腱・靱帯の維持に関わっていることが示唆された。顎関節組織におけるPrg4の発現に注目した。リウマチマウスモデルの顎関節組織から、顎関節滑膜と下顎頭の軟骨組織を顕微鏡下でそれぞれ採取し、RNA抽出後、Bulk RNAseq解析を行った。Prg4は下顎頭表層軟骨より滑膜で高く発現していた。正常関節頭でPrg4は発現しているが、リウマチの進行に伴い、Prg4の発現は減少していた。これらのことから、Prg4は顎関節滑膜で関節の恒常性維持を調節しているのではないかと示唆された。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
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