研究課題
寛骨臼骨切り術は、1968年に世界で初めて、本学で行われた手術であり、現在国内外で行われているが、手術件数の増加とともに成績不良例も増加している。これは、骨頭の内方化、大腿骨頭の骨性被覆、関節適合性、骨片の回転方向や回転角度など、本来三次元で評価すべき指標について、未だに二次元のX線画像のみで評価しており、術者の経験・技術への依存度が高い状態で手術が行われていることに起因すると考えられる。本研究の目的は、従来二次元のX線画像指標と術者の経験・技術によって行ってきた寛骨臼骨切り術の正確性・安全性を高め、かつ臨床成績を向上させるために、コンピューター工学と臨床医学の融合により、「臨床のエビデンスに基づいた新たな三次元診断・手術指標」を確立することである。約50年にわたる寛骨臼骨切り術の臨床経験をもとに独自開発をした「骨盤・股関節形態の三次元解析・寛骨臼骨切り術シミュレーションソフトウェア」を用い、「股関節症患者の診療情報」を解析するところに本研究の独創性がある。本研究の成果により、寛骨臼骨切り術の臨床成績を格段に向上させ、健康寿命を延伸することが期待できる。今年度は、以下の検討を行った。1.CT画像データベースの構築および解析:申請者らが開発した解析ソフトウェアCoLaboHip Trialを用い、寛骨臼骨切り術の手術前・手術後、臼蓋形成不全股、正常股関節のCT画像の解析を行った。2.寛骨臼骨切り術のデータベースとの相関の解析:患者基本情報、臨床所見、画像所見からなる寛骨臼骨切り術の症例のデータベースの構築を行い、このデータベースとソフトウェアの解析結果を相関させることで、各因子と手術成績の関連について検討を行った。
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