研究課題
ヒトの健常コントロール膝10膝および半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者の膝MRIを3次元構築したのち、内側および外側半月板の体積や、半月板逸脱の面積および体積について解析を行っている。また、大腿骨・脛骨プラトーを内側、外側に分けた4つの領域と大腿骨滑車部分を合わせた5ヵ所の領域について、さらに9つの小領域に区分し、合計45か所の領域における軟骨面積率を自動算出することに成功した。これらの領域ごとの軟骨面積率を調べることにより、変形性膝関節症の軟骨変性がどの領域から始まりやすく、どの領域において進行が著明であるかを調査することができ、変形性膝関節症の病態解明に有用になると考えている。また現在、半月板逸脱の面積や体積と、これらの領域における軟骨面積率の関係の解析、さらに手術症例に関しては関節鏡における軟骨所見との対比を行っていくことにより、より深く病態を解明することができ、今後の新規治療法の評価基盤を確立することができる。また、ブタ膝を用いたMRI研究に関しては、正常膝および半月板前節切除モデルを作成したのちMRI撮影を行い、3D構築化したのち解析を行っている。MRI解析として、半月板の体積や軟骨面積率の計測のほか、T2 mapping解析による半月板の質的評価について解析を進めている。半月板切除後に一部再生してくる半月板は、残存している正常半月板部分と比較してT2値が高く、質的に劣っているという結果が得られており、今後T2値と軟骨面積率の比較などを行うことで、半月板が変形性膝関節症の発症および進行にどう影響するかを検証することができると考えている。
2: おおむね順調に進展している
MRI解析をヒトおよびブタ膝において進めている段階であり、健常コントロール膝では10膝、半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者では50膝のMRI解析を行っており、おおむね順調に研究を進めることができている。これら撮影したMRI画像を3次元構築したのち、半月板の定量化を行った。また軟骨の厚みや軟骨面積率についての定量化を行った。今後これらの半月板の状態と軟骨の状態を比較していくことで、変形性膝関節症の病態解明を進めていく予定である。また、ブタ膝に関しても、正常膝および半月板前節切除モデルのMRI撮影と3D構築化を行うことができ、おおむね順調に進めることができている。半月板および軟骨の定量を行うことができたほか、T2 mapping解析による半月板の質的評価の解析を進めることもできた。
現在解析を行ったヒトの健常コントロール膝および半月板損傷や高位脛骨骨切り術の対象となる変形性膝関節症患者の膝に関して、3次元構築したデータから内側および外側半月板の体積や、半月板逸脱の面積および体積と軟骨面積率との関連性について解析していく。さらに超音波画像を解析することができれば、病態解明をさらに進めることができると考えている。また、軟骨面積率については以前の研究では大腿骨を4つの領域に分けて解析しいただけであったが、現在は大腿骨・脛骨プラトーを内側、外側に分けた4つの領域と大腿骨滑車部分を合わせた5ヵ所の領域について、さらに9つの小領域に区分し、合計45か所の領域における軟骨面積率を自動算出している。これにより、変形性膝関節症の軟骨変性が始まる領域や進行しやすい領域を解析することができ、さらに半月板との関連を検証することもできる。症例数をさらに増やしながらこれらの解析を進め、変形性膝関節症の病態解明につなげていきたいと考えている。また、ブタ膝の解析については、組織学所見との対比を行うなどして、MRIで表現されていることのvalidationを行っていきたいと考えている。
学会参加で計上していた旅費が、他の予算で執行できたため、次年度使用額が生じた。(使用計画)現在、MRI解析については順調に進めることができている。今後は超音波解析により滑膜炎の評価や、骨棘のサイズの評価などを行っていきたいと考えており、これらを評価することのできる装置の購入などに充てていきたいと考えている。
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J Bone Joint Surgery Open Access
巻: 4 ページ: e0100
10.2106