研究実績の概要 |
実験動物にはC57BL/6Jマウスおよびttwマウスの骨髄をCAG-EGFPマウス骨髄におきかえたキメラマウスを用いた。前者はIH impactorにより第4頚髄圧挫損傷モデル(60kdyn)を作成し、損傷後経時的(4日目、7日目、14日目)に免疫染色、autoradiographyを行った。免疫染色では、TSPO発現評価のために、NeuN, CD11b, CC1, GFAPおよびGFPとの蛍光二重染色を行った。autoradiographyは、脊髄凍結標本に[³H]-PK11195(85.5 Ci/mmol)を浸透させ写真乳剤(サクラ NR-H2)を塗布し暗室に放置した。また、損傷部と腰膨大部におけるミクログリア、マクロファージの分布を評価した。 脊髄損傷モデルの二重免疫染色では、TSPOは活性型ミクログリア/マクロファージのマーカーであるCD11bとはmergeしたが、NeuN, CC1, GFAPとはmergeしなかった。骨髄由来細胞で陽性となるGFP陽性細胞とTSPOはほとんどmergeしなかった。これらの結果は、TSPOは主に活性型ミクログリアに発現することを示唆する。経時的な変化では、GFP陰性でTSPO陽性細胞数は4日を境に以後は漸減する結果となった。 autoradiographyでの[3H]-PK11195発現は、対比染色でH-E染色を行い、細胞内に黒色点状の集積が認められた細胞を陽性とし、脊髄損傷レベルの水平断の弱拡大において脊髄後角を中心として損傷後4日目をピークに強い発現がみられた。 両モデルにおいて、損傷(圧迫)部はM1 type マクロファージ有意、腰膨大部はM2 typeミクログリア有意の発現がみられ、これらが疼痛発現に関与している可能性が示唆された。 今後のPET imagingによる活性型ミクログリアの可視化の可能性が示される結果である。
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