研究課題/領域番号 |
19K09645
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
中嶋 秀明 福井大学, 学術研究院医学系部門, 講師 (10397276)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 脊髄損傷 / 脊髄症 / 活性化ミクログリア / 神経障害性疼痛 / PET |
研究実績の概要 |
活性化ミクログリアに発現する末梢性ベンゾジアゼピン受容体(TSPO)およびPK11195(TSPOの特異的リガンド)を核種としたPET評価を動物モデルで行い、さらに脊髄損傷患者を対象とした[11C]-PK11195 PET/MRI にて臨床的有用性を評価した。 SDラットを用いて頚髄圧挫損傷モデルを作成し、経時的に神経グリア細胞におけるTSPO発現を評価した。また、CAG-EGFPラット骨髄を移殖したキメララットを用いた頚髄損傷モデルを使用し、TSPOとの蛍光二重染色を行った。次に、PK11195を用いたautoradiographyおよびPET撮影を行い、損傷頚髄内での経時的な発現解析を行った。臨床応用として、急性期から慢性期の頚髄損傷患者6名を対象として、[11C]-PK11195 PET/MRIを行い、損傷部および腰膨大部でのstandardized uptake value (SUV)を評価した。 急性脊髄損傷モデルにおける免疫染色では、TSPOはCD11bとmergeしたが、NeuN, CC1, GFAPやGFPの多くとはmergeしなかった。PK11195を用いたautoradiographyおよびPET imagingでは、損傷後4日をピークに損傷頚髄内での集積がみられ以後漸減した。臨床応用例では、急性期では損傷部でのuptakeがみられたが、慢性期例では脊髄損傷後疼痛が強い症例であっても損傷部や腰膨大部にuptakeは確認されなかった。 TSPOは主に脊髄由来活性化ミクログリアに発現し、TSPOに特異的な結合性リガンドであるPK11195を用いたPET imagingによって、活性化ミクログリアの動態を可視化できる可能性がある。しかしながら、PET/MRIを用いた臨床応用例でのuptakeの確認は急性期症例に限られ、慢性期での有用性の確認には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床応用における慢性期での有用性が確認されていないことが当初の予想とは異なるが、研究計画としては予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
臨床応用例を追加したうえで、本研究の結果を英文論文として公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
補助事業の誠実な執行に努めた結果、当初計画より経費の使用が節約できたことにより未使用額が生じた。
当該未使用額を次年度に持ち越して追加の試薬・抗体・消耗品等購入する。
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