スポーツ動作時(自転車やテニス、ゴルフなど)、自動車への乗り降り、しゃがみ姿勢からの起立(スクワット)などの動作をフラットパネルディテクターで連続X線撮影し、CTより得られた投影像とマッチングさせ、画像相関による動態解析を行った(イメージマッチング)。加えて、ポイントクラスター法を用いて全身の動作も併せて解析して、数編の論文として報告した。 人工股関節置換術前後において座位時の屈曲角は術後に有意な増加を認めた。立ち上がり動作において骨盤は後傾位から起立に伴い徐々に前傾し、その後、再度後傾しながら立位に至った。股関節は起立動作中に最大屈曲位となり、術後は最大屈曲角の有意な増加を認めた。骨盤傾斜は術前、屈曲制限のために後傾してが、制限の取れた術後には有意に前傾し、また骨盤最大前傾角も有意に増加した。すなわち屈曲の改善に伴い、骨盤後傾の程度が軽減した結果となった。 また、Finite Element Analysisによる力学的解析では臼蓋形成不全例では立位でより前方に荷重が集中することが明らかとなった。イメージマッチング法により、過去には解析困難であった深屈曲や捻りを含む様々な動作中の骨盤と大腿骨の協調運動を高精度で詳細に解析することが可能であった。本法は今後、股関節疾患の病的kinematicsを評価する際にも有用であると考えられた。また、力学解析を加えることにより動態と荷重集中の関連も明らかになりつつある。
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