研究実績の概要 |
非骨傷性頚髄損傷は、比較的軽微な外傷を契機として四肢麻痺を呈し、その発症メカニズムについては、古くから議論が絶えない。受傷機転は個々の症例により異なる可能性があり、受傷前の状態や、残存する脊椎の不安定性、周囲の軟部組織損傷の程度を詳細に評価する事が大切である。本研究では、非骨傷性頚髄損傷の病態の解析と、その適切な診断および治療指針を解明し、早期の個々の症例の予後やゴール設定と社会復帰のための準備対応を目的としている。研究代表者より研究の意義と研究に伴うリスクの十分なinformed consentの受け、ご理解とご承諾いただけた非骨傷性頸髄損傷患者と頚椎症性脊髄症患者を対象として、1)厳密な病歴の聴取 2)画像診断: 単純XP, MRI;急性期、亜急性期、慢性期における画像変化, CT:脊柱管外の微小骨折の有無 3)神経学的所見: 呼吸状態, ASIA分類 による四肢麻痺評価, 四肢麻痺状態の推移のについて経時的に厳密に評価解析を行った。現在、非骨傷性頸髄損傷症例21例と頚椎症性脊髄症症例16名について、データを解析し、結果を出した。非骨傷性頸髄損傷と頚椎症性脊髄症の病態生理は似通っているが、同一ではない。損傷頚髄高位のMRI T1強調画像は両病態の定量的な鑑別になりうるが、早期診断においては、既存の頚髄症の存在の有無が大きな決め手となる。これらの結果をもとに、英語論文を書き、国際学会にて演題発表をすでに済ませた。現在、英文ジャーナルに投稿中である。
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