研究課題/領域番号 |
19K09670
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
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研究分担者 |
大澤 佳代 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (50324942)
宮良 高維 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (50368304)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 尿路感染症 |
研究実績の概要 |
臨床分離株の薬剤耐性大腸菌・緑膿菌で研究を行い、大腸菌では、キノロン耐性決定領域(QRDRs)の変異はgyrAでは83番目のSerと87番目のAsp、parCでは80番目のSerと84番目のGluであった。変異の組合わせで最も多いのはgyrAのS83L、D87N、parCのS80I、E84Vを表すLNIVで54株 (65%)、次いでLNIE 10株 (12%)、LDSE 9株 (11%)であり、変異を認めない株も7株 (8%)存在した。4箇所のうち、合計3ヶ所以上の置換がLVFX耐性と関与していた。またESBL型別検査では83株全てがCTX-M型で、CTX-M-1 group、CTX-M-2 group、CTX-M-9 groupのいずれかに分類された。シークエンスの結果、最も多い遺伝子型はCTX-M-9 groupに属するCTX-M-14であり、38株 (46%)であった。同じくCTX-M-9 groupのCTX-M-27が18株 (22%)、CTX-M-1 groupのCTX-M-15が17株 (20%)と続いた。 次いで緑膿菌について得られた6つの分離株の全ゲノムシーケンスを行い、合計41のコアSNPが検出された。それらの中で検出された5つのSNPは、薬剤耐性分離株における一般的な変異だった。 5つの変異のうち、薬剤耐性株で見つかった2つの変異は排出ポンプの発現と抗菌薬耐性に影響を与えるmexRおよびgyrB遺伝子であり、最初に分離された感性株のMICよりもIMP、MPM、およびCIPで高いMICを示した。今回の耐性株では、薬剤耐性機構が集積している部位ではなく染色体上のmexRおよびgyrB遺伝子が、緑膿菌のIMP、MPM、およびCIPに対する耐性に関与していることを示していた。単一の患者からの6つの緑膿菌分離株のゲノムシーケンスにより、抗菌薬耐性の変更に役割を果たすmexRとgyrBの2つの主要なSNPを特定した。 また現在インドネシア菌株での検討も適宜進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在インドネシア株についての検討は進んでいるが、台湾株はまだ収集中の段階である。
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今後の研究の推進方策 |
台湾株にての検討を重ねつつ、他種の菌株での検討も適宜進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響での発表予定であったヨーロッパ泌尿器科学会の中止、実験業務の中断を余儀なくされたため
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