研究課題/領域番号 |
19K09670
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
重村 克巳 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (00457102)
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研究分担者 |
大澤 佳代 神戸常盤大学, 保健科学部, 教授 (50324942)
宮良 高維 神戸大学, 医学部附属病院, 特命教授 (50368304)
白川 利朗 神戸大学, 科学技術イノベーション研究科, 教授 (70335446)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 尿路感染症 |
研究実績の概要 |
関西地域で検出の多い遺伝子型のカルバペネマーゼであるIMP-6産生大腸菌42株を対象とする研究では、従来の報告と異なりカルバペネム系のイミペネムに耐性率が50%と高値であった。他の耐性機構について調査を進めたところ、カルバペネム耐性機構の1つとして知られる外膜浸透圧関連遺伝子、ompCおよびompFのmRNA発現量とイミペネムの耐性度に負の相関がみられた。すなわち、本研究の株ではIMP-6産生と同時に、外膜浸透圧の変化も働き、イミペネム耐性に関連していることが分かった。IMP-6産生菌におけるイミペネム耐性および、外膜透過性の変化が同時作用することによる薬剤耐性の変化を報告したのは本研究が初めてであり、この結果はAntibiotics. (2022)に掲載された。 兵庫県で分離された基質拡張型βラクタマーゼ (ESBL) 産生肺炎桿菌の過粘稠性 (HV) 株54株および非過粘稠性 (nHV) 株53株を対象とする研究では、HV株は病原性遺伝子であるuge、wabG、rmpA、fimHの保有率がnHV株より高く、セフェピムおよびピペラシリン/タゾバクタムに対して高い耐性を示した。また、HV株の莢膜血清型はK2型が最も多かった。対象株のESBL遺伝子型はHV株、nHV株ともにCTX-M-15型が最も多く、主要なプラスミド型はFII型であった。 インドネシアの尿路感染症患者から分離されたESBL産生肺炎桿菌105株を対象とする研究では、キノロン系抗菌薬に高い耐性率を示し (86.7%)、プラスミド媒介キノロン耐性 (PMQR) 遺伝子が高頻度で検出された。またPMQR遺伝子の保有に加え、染色体上のDNAジャイレースおよびDNAトポイソメラーゼに変異を持つ株が他国の研究と比較して高頻度に見られた。PMQR遺伝子と染色体変異の両方を持つことにより、ナリジクス酸とシプロフロキサシンの耐性率が有意に高いことが確認された。 上記の通り、本邦および近隣国であるインドネシアにおいて、新たな耐性の傾向や脅威となる薬剤耐性菌の解析結果を報告した。
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