研究課題/領域番号 |
19K09673
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
清水 翔吾 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 助教 (90721853)
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研究分担者 |
齊藤 源顕 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 教授 (60273893)
清水 孝洋 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 准教授 (00363276)
東 洋一郎 高知大学, 教育研究部医療学系基礎医学部門, 講師 (80380062)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 頻尿 / 高血圧 / GABA神経系 / アンジオテンシンⅡタイプ1受容体 |
研究実績の概要 |
高血圧が頻尿及び過活動膀胱を惹起することが報告されているが、その詳細な発生機序は明らかになっていない。脳内GABA神経系は排尿制御において重要な役割を果たし、GABA神経系の抑制は排尿反射亢進(頻尿) を惹起することが報告されている。これまで我々は、昇圧物質かつ脳内神経伝達物質であるアンジオテンシンⅡが脳内アンジオテンシンⅡタイプ1 (AT1) 受容体経路活性化及びGABA神経系の抑制を介し、頻尿を惹起することを動物実験にて報告した。自然発症高血圧ラット (SHR) は遺伝的に高血圧かつ頻尿を呈する動物モデルである。今回、SHRを用いて、高血圧に伴う頻尿における脳内AT1受容体とGABA神経系の関与を検討した。ウレタン (1.0 g/kg i.p.) 麻酔下の18週齢雄性SHRに対して、vehicle (3 uL), AT1受容体拮抗薬 [telmisartan (10, 30 nmol), valsartan (10 nmol)]、 GABAB受容体作動薬baclofen (100 pmol/3 μL) を脳室投与前後にて、連続膀胱内圧測定 (4 mL/h) を行い、排尿間隔を評価した。対象として、同週齢の雄性Wistar系ラット(正常血圧)を用いた。Telmisartan投与SHR群またはvalsartan投与SHR群は、vehicle投与SHR群に比して排尿間隔の延長がみられた。さらに、薬物投与前と比較してbaclofenはSHRの排尿間隔を延長した。一方、同用量のbaclofenをWistar系ラットに脳室内投与しても、排尿間隔には影響はみられなかった。以上の結果より高血圧に伴う頻尿発症において、脳内AT1受容体活性化及びGABA神経系抑制の関与が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
緊急事態宣言等により一時期、所属機関にて研究を行うことが中止もしくは制限となったため、動物実験の進め方を変更することになったが、仮説に合致する研究成果は得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Baclofen脳室内投与による用量依存反応を検討する。具体的に、今回用いた用量よりも低用量の薬物を脳室内投与し、排尿反射に及ぼす影響を検討する。GABAA受容体作動薬muscimol脳室内投与による排尿間隔の影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
緊急事態宣言により一時期、所属機関にて研究を行うことが中止もしくは制限となったため、動物実験の進め方(予定)を変更することになった。加えて、研究結果発表を目的として現地参加を予定していた学会がオンラインとなったことが理由として挙げられる。
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