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2021 年度 実施状況報告書

PET/CTを活用した免疫チェックポイント阻害剤の血液バイオマーカーの同定

研究課題

研究課題/領域番号 19K09676
研究機関横浜市立大学

研究代表者

中井川 昇  横浜市立大学, 医学部, 准教授 (00237207)

研究分担者 矢尾 正祐  横浜市立大学, 医学研究科, 客員教授 (00260787)
近藤 慶一  横浜市立大学, 附属病院, 准教授 (80363836)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード腎細胞癌 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍マーカー
研究実績の概要

本研究では免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブを投与した進行性腎癌患者を対象にFDG PET/CTによって抗腫瘍効果の判定が可能であるか検証するとともに、同時に採取した血液を解析することによって、①ニボルマブの抗腫瘍効果をリアルタイムに診断できる血液バイオマーカーを同定し、簡便、低コスト、早期に効果判定をする方法を確立し、②抵抗性獲得を誘導する蛋白を同定することで効果予測法を確立し、③最終的に免疫チェックポイント阻害剤に対する抵抗性獲得メカニズムを標的とした新たな治療法の開発に繋げ、進行性腎細胞癌患者の治療成績の向上を目指す。
ニボルマブを投与された腎細胞癌患者のFDG PET/CTによる評価を開始したところ、少数の検討ではあるが治療開始前と比較し治療開始後1か月目にFDGの集積が上昇している腎癌病変は4か月目のCT評価においてその腫瘍径が縮小する傾向にあることを明らかにした。
FDGの集積の上昇は癌組織内に存在する細胞のブドウ糖の取り込みの亢進を意味するものであること、ニボルマブはT細胞上に存在するPD-1蛋白と結合することによって疲弊化したT細胞を活性化させ抗腫瘍効果を発揮すると考えられていることから、今回確認された1か月目のFDGの集積上昇は活性化したT細胞においてGLUTを介したブドウ糖の取り込みの亢進を示しているものと推測された。
症例数の集積を進めこの傾向が正しいものであるか解析を進めると同時に、血液サンプルを用いた新規マーカー候補の同定作業を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

少数の症例を対象とした解析ではあるが、既存の血液検査項目の中で免疫チェックポイント阻害剤の抗腫瘍効果をリアルタイムに診断する血液バイオマーカーとなりうるものを同定している。なお、予想していた症例数の蓄積が進んでいないため、血液サンプルを用いた解析が予定通り行われていない。
当初の計画ではニボルマブ単剤投与を行う腎細胞癌患者を対象としてFDG PET/CTによる評価と血液サンプルの採取を予定していたが、2種の免疫チェックポイント阻害剤を組み合わせたニボルマブ・イピリムマブ併用療法、免疫チェックポイント阻害剤と分子標的治療薬を組み合わせたパゾパニブ・アキシチニブ併用療法、アベルマブ・アキシチニブ併用療法、ニボルマブ・カボザンチニブ併用療法が相次いで未治療の腎細胞癌患者に対する保険適応に認められたことによって、ニボルマブ単剤投与の対象となる腎癌患者数が予想よりも減少していることと、新型コロナ感染拡大に伴い、薬物療法を目的とした進行性腎細胞癌患者の紹介数自体が予想よりも大きく減ったことが原因として考えられる。

今後の研究の推進方策

進行性腎細胞癌における免疫チェックポイント阻害剤の使用法が従来の単剤使用から併用療法へとシフトしてきたことを配慮し、今後は解析対象症例をニボルマブ単剤投与症例だけでなくニボルマブ・イピリムマブ併用療法、パゾパニブ・アキシチニブ併用療法、アベルマブ・アキシチニブ併用療法、ニボルマブ・カボザンチニブ併用療法といった免疫複合療法を投与された症例にまで広げることで評価症例を確保する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染拡大、治療選択の多様化の影響で症例集積が遅れていることから、検体解析に遅れが生じている。検体解析に要する経費を2022年度に繰り越して解析を行う。

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公開日: 2022-12-28  

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