• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2019 年度 実施状況報告書

腎移植におけるBKウイルスモニタリングシステムによるグラフト長期生着への取り組み

研究課題

研究課題/領域番号 19K09680
研究機関愛知医科大学

研究代表者

三輪 祐子  愛知医科大学, 医学部, 助教 (90572941)

研究分担者 齋藤 尚二  名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (00635609)
岩崎 研太  愛知医科大学, 医学部, 准教授 (10508881)
小林 孝彰  愛知医科大学, 医学部, 教授 (70314010)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード免疫抑制下でのウイルス感染 / 腎移植
研究実績の概要

移植後の拒絶反応を制御するための長期にわたる免疫抑制剤の服薬は、ウイルス感染やガン発生を増悪させる負の側面を持つ。腎移植後のBKウイルス(BKV)の再活性化も、BKVに対する特効薬がないことと検査系の確立が不十分なため、過剰免疫抑制により腎症に進展しうる。一方で、感染症後の免疫抑制剤の減量は、細胞性の拒絶反応はもちろん、新規のドナー特異的抗体 (de novo Donor Specific Antibody (DSA)) 産生による抗体関連型拒絶反応が惹起し、移植腎の長期生着を阻んでしまう。本研究は、腎移植後に起こるBKV再活性化を、BKV腎症に進展させず、なおかつde novo DSAの産生を促さない適切な免疫抑制療法及び治療法を確立し、グラフトの長期生着を目指す。そのために次の3つの点を明らかにする。
(1)移植前の潜在的なBKV感染(ドナー・レシピエント:D/R)とBKV再活性化との関連性。
(2)BKV特異的反応性を持つT細胞リンパ球測定法の確立。
(3)BKV感染による、血管内皮細胞上のHLA class I,II発現への影響。
今年度は、(1)において、D/Rの検体を使用して、移植前の尿中BKV-DNA量と、血中におけるBKV抗体とBKV血症の相関性を明らかにした。尿中においては、移植前のDの尿中でBKV-DNAの排出量が高いとBKV血症を起こす可能性が高い傾向にあった。また血中の抗BKV抗体価では、移植前のRの抗BKV抗体価が低いと、移植後BKV血症が有意に起こることがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の目的は、腎移植後に起こるBKV再活性化を、BKV腎症に進展させず、なおかつde novo DSAの産生を促さない適切な免疫抑制療法及び治療法を確立し、グラフトの長期生着を目指す。そのために次の3つの点を明らかにする。
(1)移植前の潜在的なBKV感染(ドナー・レシピエント:D/R)とBKV再活性化との関連性。
(2)BKV特異的反応性を持つT細胞リンパ球測定法の確立。
(3)BKV感染による、血管内皮細胞上のHLA class I,II発現への影響。
以上で掲げた3つの目的のうち、(1)については、患者検体を採取し、dataを集積し、解析まで行うことができ、また(2), (3)においても方法論を確立しつつあるため。

今後の研究の推進方策

BKVは、DNAウイルスで、感染経路は不明だが、幼少期に初感染し、抗体保有率は概ね50-90%とされている。また、BKVには、サブタイプがIからIV型まであり、大多数を占めるI型にはサブグループがあり、それらの分布には地域性があることが報告されている。腎移植の場合、BKVの再活性化は、移植されたドナー腎由来であることが上記のサブタイプ解析や、尿中のBKV-DNA量の解析で報告されている。(J Clin Virol.2014) 目的にある、移植前D/Rの尿中ウイルス量の測定では、D/Rのサブタイプ解析を行い、そのウイルス量を測定することによってD/Rのリスクを探る。また抗BKV抗体価の測定は、レシピエントに抗体が存在しない場合D(+)/R(-)は、BKV再活性化のリスクが高いとされている。D(+)/R(+)の場合でも、BKVにはサブタイプがあるので、BKVの感染能を阻害する中和抗体を測定する必要性がある。そのため、日本人のサブタイプ分布にあった中和抗体測定アッセイを開発していく。そして、BKVには特効薬が未だ開発されていないため今後ヒト末梢血Bリンパ球を差材料としたヒトモノクローナル抗体作製技術を用いて、各サブタイプに対するモノクローナル抗体を作製し、今回開発予定の中和抗体アッセイを用いて、BKV感染能を効率的に阻害する中和抗体の検出を目指す。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、移植前のドナーおよびレシピエント(D/R)の尿検体、または血液検体より抽出した、BKV-DNAを用いて、BKV-DNA量、サブタイプ解析、抗BKV抗体価検出を行ったが、臨床において、BKV-DNA量のモニタリングを行っている検体と重なる部分があったため, ウイルス抽出キットを併用して行うことができた。そのため生じた次年度使用額の使用計画は、本年度行った抗BKV抗体価検出のELISAアッセイを発展させ、各サブタイプにも対応できる中和抗体アッセイの確立に充当する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Suppressive effect of everolimus on IL-2, IL-10, IL-21, and IFNγ levels: Implication for successful minimization of calcineurin inhibitor use in transplantation2019

    • 著者名/発表者名
      Iwasaki K, Kitahata N, Miwa Y, Uchida K, Matsuoka Y, Horimi K, Kobayashi T.
    • 雑誌名

      Ther Drug Monit.

      巻: 41 ページ: 371-375

    • DOI

      10.1097/FTD.0000000000000630.

    • 査読あり
  • [学会発表] グラフト長期生着を目指した腎移植前後のBKV-DNAスクリーニングの有効性2019

    • 著者名/発表者名
      三輪祐子、堀見孔星、今本由紀、岩﨑研太、松岡裕、友杉俊英、渡井至彦、丸山彰一、小林孝彰
    • 学会等名
      第55回 日本移植学会総会
  • [学会発表] 抗凝固因子、Endothelial protein C receptor(EPCR)におけるヒトーブタ間のmolecular incompatibility(分子不適合)解析2019

    • 著者名/発表者名
      三輪祐子、岩﨑研太、鈴木俊一、岩元正樹、大西彰、小林孝彰
    • 学会等名
      第22回 日本異種移植研究会

URL: 

公開日: 2021-01-27  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi