研究課題
癌細胞では、好気的環境下でも解糖系によるエネルギー産生が優位となるグルコース代謝のスフト(ワールブルグ効果)が生じている。われわれは、解糖系の制御の標的としてピルビン酸からアセチルCoAへの反応を抑制して解糖系を更新するピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4(PDK4)に着目した。新規PDK4阻害剤クリプトタンシノン(CPT)は、ヒト膀胱癌細胞株(T24, J82)で、三次元(3D)スフェロイド形成・細胞浸潤抑制作用を示す。また分子機構の解析ではβカテニン、上皮間葉転換(EMT)、mTOR、癌幹細胞性を抑制することを確認してきた。これらの結果をふまえ、いかなる経路を経て細胞浸潤抑制作用を示すかを、T24細胞に対してAkt、mTOR、Erk阻害剤を用いて検討を加えた。mTOR阻害剤では、Nカドヘリンとβカテニン抑制作用は確認できたが、AktとErk阻害剤ではNカドヘリン、βカテニン抑制作用は確認できず、mTOR経路がEMT抑制作用に関与していることが確認できた。siRNA実験では、Nカドヘリンがβカテニンの下流にあり、これらをまとめるとCPTがPDK4よ抑制することにより、PDK4→mTOR→βカテニン→Nカドヘリン→EMT→細胞浸潤の経路で、膀胱癌細胞癌の細胞浸潤能が抑制されることが確認できた。アポトシスの関与を検討するため、T24、J82細胞をCPT 10~20μMで処理し、ウエスタンブロット法でcaspase-3の活性化、Caspase-Glo-3/7分析でcaspase-3/7の活性化を調べたが、アポトシスの関与は確認できなかった。
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