研究課題/領域番号 |
19K09688
|
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松崎 恭介 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (90747081)
|
研究分担者 |
藤田 和利 近畿大学, 医学部, 准教授 (50636181)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | エクソソーム / 前立腺癌 / バイオマーカー / 尿 / miRNA |
研究実績の概要 |
PSA高値で前立腺生検を行った14名の患者(生検結果が陰性の患者6名、前立腺癌の患者8名[うちGleason score 6が3名、score 7が3名、score 8が4名])の前立腺マッサージ後の尿中エクソソームを超遠心法を用いて回収し、エクソソーム内部のmiRNAを抽出した。それらをmiRNA マイクロアレイにて解析し、前立腺癌患者の尿中エクソソーム内で上昇している19個のmiRNAを同定した。PSA高値で前立腺生検を行った53例の患者群を別のコホートとして検証した。このコホートでも上記のうち2個のmiRNA(miR-30b-3p、miR-126-3p)は、生検陰性患者と比較して癌患者の尿中エクソソームで有意に上昇(p<0.05)していることが示された。多変量解析を用いると、年齢やPSA値で調整したとしても、これらの尿中miRNAは生検陰性患者と前立腺癌患者の間で有意差を持っていた。これらの尿中エクソソーム内 miRNAを用いた前立腺癌の診断能は、miR-30b-3pが感度・特異度=46.4%・88.0%で、miR-126-3pが感度・特異度=60.7%・80.0%であり、血清PSA値の感度・特異度=53.5%・64.0%よりも良好という結果であった。以上より、尿中エクソソーム内のmiR-30b-3pとmiR-126-3pは、新規の前立腺癌の診断バイオマーカーになりうることが示された。 現在は上記のmiRNAを多検体で応用できる手法として超遠心法以外のエクソソーム回収法を検討しており、また同時に上記エクソソーム内miRNA阻害実験によって癌の増殖、進展を抑制しうるかを検証している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
miR-30b-3p、miR-126-3pが前立腺癌の尿中バイオマーカーとして有用であることは示すことができた。しかしエクソソームの回収法としての超遠心法は、多検体を同時に処理する方法としては適切とは言えない。現在はさらに多検体で臨床応用できるように、エクソソームの回収法をさまざまなキットを使用して検討している。 また上記エクソソーム内miRNAの阻害実験を行い、前立腺癌の新規治療法を探索することも今後の検討課題である。
|
今後の研究の推進方策 |
上記の尿中エクソソーム内miRNAを前立腺癌のバイオマーカーとして臨床応用できるように、エクソソームの回収法をさまざまなキットを使用して検討する。 また上記エクソソーム内miRNAの阻害実験を行い、前立腺癌の新規治療法を探索する。
|