研究課題/領域番号 |
19K09697
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
柴田 泰宏 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (10534745)
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研究分担者 |
鵜川 眞也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (20326135)
窪田 泰江 名古屋市立大学, 大学院看護学研究科, 教授 (00381830)
太田 裕也 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 臨床研究医 (20814255)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 機械刺激受容体 / 膀胱 / 過活動膀胱 / アシドーシス |
研究実績の概要 |
尿意を受容する本態、特に機械刺激受容については不明な点が多い。これらを明らかにするため、私たちは線虫の機械刺激受容体の哺乳類ホモログであるASICファミリーに注目し、ASICファミリーのノックアウトマウスおよびノックインマウスを用いてその膀胱における分布と機能の詳細を検討することを計画した。本年度は膀胱におけるASICファミリーの発現分布解析を中心に検討を行った。実際的な問題として、本年度はコロナ禍の影響により本学の動物飼育施設において飼育動物数の制限が設けられ、一時的に完全に実験が停止する期間が発生した。このため、発現分布解析の精度を上げるための前実験に多くの時間を割くこととなった。動物飼育数を削減する際に回収したサンプルを使用して、ノックインマウスに使用したタグタンパク質に対する抗体の特異性および感度をウエスタンブロット法にて検討した。結果、各種抗体のうち、メーカーのデータシートと反応性の異なる物、非特異的反応が複数見られる抗体など、使用に際して注意を要する物を事前に選り分けることができた。また、同時に飼育数削減した野生型マウスの膀胱を材料として、粘膜、筋層におけるASICファミリーのmRNAレベルでの発現を確認した。現時点では飼育数制限は解除されているため、ASICノックアウトマウスの再度の繁殖を行いつつ、別項今後の研究の推進方法にも記載した通り今後の感染再拡大に伴う実験動物の再度の使用制限に備えた実験計画を同時に計画中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍における自然科学研究への影響は予想内、予想外含めてさまざまな面で現れたと言わざるを得ない。PCR関連における各種資材の品薄、動物施設における飼育動物数制限などである。具体的な案件について詳細は省くが、本研究が遺伝子改変動物をその中心に置いている都合上、実験動物飼育数制限は非常に研究進捗に対して直接的に影響し、予定していた実験の進捗としては遅れを生じたと言わざるを得ない。動物飼育数を削減する際に回収したサンプルを使用して、ノックインマウスに使用したタグタンパク質に対する抗体の特異性および感度をウエスタンブロット法にて検討した。結果、各種抗体のうち、メーカーのデータシートと反応性の異なる物、非特異的反応が複数見られる抗体など、しように際して注意を要する物を事前に選り分けることができた。これらの抗体を使用し、膀胱におけるASICの発現分布の詳細の検討を行った。また、過去に報告はあるものの当教室においても野生型マウスの膀胱を材料として、粘膜、筋層におけるASICファミリーのmRNAレベルでの発現を確認し、過去の報告と大きな差は無いことを確認した。
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今後の研究の推進方策 |
前記に記載した実験動物飼育施設における飼育数制限は既に撤廃されており、現時点での遺伝子改変動物を使用した解析に問題は無い。ただ、コロナ禍第4波の拡大状況、今後のワクチン接種状況などを考慮し、実験の主体を実験動物以外に置く計画についても同時に立案し、状況に応じて実効可能な状態にするべく、現在計画を微調整中である。実験動物の再度の繁殖を行いつつ、膀胱上皮のプライマリカルチャーを材料としたパッチクランプ手技について条件設定を行い、酸に対する反応をASICノックアウトマウスおよび野生型マウスで行い、その反応性の違いを観察する。 また、膀胱粘膜下層への酸刺激応答の活動度を、一次知覚神経の神経核集合体である後根神経節のc-Fosを観察することにより明らかにする予定である。コロナによる動物実験の制限がさらに厳しくなった場合に備えて、ASIC4の電気生理学的解析を動物を用いない系で行うことを検討中である。具体的には、Xenopus laevisの卵母細胞を用いた発現系にてASIC4の電気生理学的性質をさらに追求する。これまでの検討ではカルシウム透過性についての検討がカルシウム感受性クロライドチャネルの阻害薬の不在により検討困難であった。近年、カルシウム感受性クロライドチャネルが複数報告されており、これらを使用してカルシウムの透過性を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による実験計画の変更、その中でも動物飼育施設における動物飼育数制限が最も大きな要因となり、実験を繰り越す必要性が生じた。これに伴って次年度繰越金が発生することとなった。
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