研究課題/領域番号 |
19K09698
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
上田 紗弥 (伊藤紗弥) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (90534511)
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研究分担者 |
上田 崇 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50601598)
浮村 理 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70275220)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ユビキチン様タンパク質 / 精巣 / クロマチン構造調節 / ショウジョウバエ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、精巣で特異的に発現するユビキチン様タンパク質UBQLNLの作用機序解明を通じて、タンパク質分解制御を介した精巣の分化および発癌制御メカニズムを明らかにすることである。前年度までは、ヒトUBQLNLのショウジョウバエホモログCG31528に着目し、精巣における生理的役割を明らかにすることを目指した。CG31528は雄成虫の精巣組織で特異的に高発現していることが確認された。精巣特異的発現ドライバーを用いてCG31528をノックダウンするとユビキチン化タンパク質量の増加が観察されたものの、精子形成など精巣機能に顕著な異常は認められなかった。 ユビキチン様タンパク質の量は細胞内で厳密に補正制御されることから、当該年度はCG31528遺伝子欠損系統を作出しCG31528完全欠失の条件下、表現型解析による評価を試みた。その結果、CG31528遺伝子ホモ欠損系統は胚性致死であり、一部の発生初期胚で部分的な細胞の欠失がみられた。胚性致死の主要因は、前世代成虫精巣でのCG31528機能低下に由来する精子の異常ではなく、初期胚でのCG31528欠失であることが明らかとなった。CG31528遺伝子ヘテロ欠損系統を用いて発生初期胚のユビキチン修飾タンパク質量を定量した結果、ヘテロ欠損系統においてポリユビキチン化タンパク質量の増加が認められた。さらに、成虫複眼の斑入り位置効果(PEV)を利用したクロマチン構造調節能の評価を行ったところ、CG31528遺伝子ヘテロ欠損系統ではクロマチン状態に依存してクロマチン構造変化を来すことが明らかとなった。以上の結果より、CG31528の発現は精巣で顕著に高いものの、その機能は胚発生初期から発揮され個体の生存維持に必須であることが示された。また、CG31528はユビキチン化タンパク質量を調節し、結果的にクロマチン構造変化を誘導する可能性が示唆された。
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