研究実績の概要 |
移植腎機能障害で急性拒絶反応(AR)の確定診断は侵襲的な腎生検しかないのが現状である。低侵襲で精度の高い拒絶反応の診断法は腎移植患者にとって非常に有益である。我々は、代謝物を網羅的に測定するオミックス解析技術の一つであるメタボローム解析にて唾液、血液、尿を用いて腎移植後急性拒絶反応診断法のためのマーカー探索に取り組み、候補となる物質の同定を試みた。検討した群は腎移植ドナー群9例、移植腎機能安定群19例、移植腎機能障害群31例である。メタボローム解析したところ血清ではCreatinine、 Urea、guanidino-acetateの濃度が移植腎機能障害群で高かった。一方、 lactate, an end product of gly-colysis, tryptophan (Trp), serine (Ser), leucine (Leu), valine (Val), and tyrosine (Tyr)などの濃度は腎機能安定群で腎機能障害群と比べ低かった。 移植腎機能障害症例の内訳はT細胞拒絶9例、急性抗体拒絶7例、その他の移植腎機能障害7例であった。血清において hydroxyproline, Asp, gluconate, threonate, creatine, 3-indolyl sulfate, ,citrateがT細胞性拒絶群において他の群より濃度が高かった。 3-indoxyl sulfate、trimethylamine N-oxide-related pathwaysが拒絶反応診断のバイオマーカーとなる可能性がある。
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